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おひとりさま終活サポートのススメ 〜遺言を活用した安心の準備〜

おひとりさま終活サポートのススメ 〜遺言を活用した安心の準備〜

こんにちは。老後コンシェルジュの坂井です。

私はファイナンシャルプランナー、薬剤師、そして終活アドバイザーとして、これまで数多くの方の老後や終活のお悩み相談をお受けしてきました。

特に近年、「おひとりさま」と呼ばれる、ご自身の人生を自立して楽しんでいらっしゃる方が増えていると感じています。

おひとりさまであっても、何かあったときのためにしっかりと対策をしておくことで、日常やこれから先の将来をより安心して過ごせるのではないでしょうか。

今回は、おひとりさま終活において大切な「遺言」をメインテーマに、私なりの視点と経験談を交えながら詳しくお伝えしていきたいと思います。

終活というと、いろんなイメージがあるかもしれません。

いわゆる「エンディングノート」や「葬儀の準備」などを思い浮かべる方が多いと思いますが、実は遺言を作成しておくことも重要な終活の一つです。

「自分にはそこまで大きな財産なんてないから……」と考えがちですが、銀行口座やわずかな預貯金、不動産の名義など、意外に整理しておくべきことは多いものです。

特におひとりさまの場合は、親族や身近に相談できる方が少ないケースもあり、「いざ」というときにいろいろとトラブルが発生しやすいのが現実です。

そこで、遺言、とりわけ「公正証書遺言」を作成する意義やメリットについて、実際のエピソードも織り交ぜながら説明していきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。

1. おひとりさま終活と遺言の関係

私が「終活アドバイザー」としてご相談を受けていると、「終活って何から手をつけたらいいかわからない」という声を耳にします。
おひとりさまの場合は、特にそう感じられる方が多い印象です。
親しい家族がいない、あるいは子どもがいない、親戚づきあいもほとんどない……そんな状況だと、「もう自分で頑張るしかないな」と感じながらも、どのように準備を進めればいいのか戸惑うこともしばしばです。

終活には、葬儀やお墓の準備、エンディングノートの作成、生前整理(持ち物や財産などの棚卸し)などが含まれますが、特に「遺言」に注目してほしいのは、万が一のときに自分の意思を明確に遺せるからです。
たとえば、自分の銀行口座にある残高をどのように扱ってほしいか、遺骨をどのように供養してほしいか、また大切にしているペットの行き先や、思い出の品の取り扱いなど、「自分しか知らないこと」をきちんと第三者に分かる形で示しておくことができます。

おひとりさま終活においては、「自分が亡くなったあとのこと」をしっかり考えておくことが非常に重要です。
特に法定相続人がいない場合や、相続人と疎遠になっている場合など、自分の希望が誰にも伝わらないままになってしまうリスクが高まります。
そこで「遺言書」があると、自分の財産や思いを明確に伝えられるため、周囲の方が困らずに手続きを進められるのです。

2. 遺言があることで得られる安心感

「遺言を書くなんて、まだまだ先の話では?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は私も若い頃は、「自分に限ってそんなに早く死ぬことはないだろうし、遺言なんて書くのは早すぎるんじゃないか?」と考えていた時期がありました。
でも、さまざまな方のご相談に乗っているうちに、「いつ何が起こるか分からないからこそ、準備しておく意味がある」と強く思うようになったのです。

私が以前お会いした60代の男性は、若い頃からずっと独身で自営業を営んでいた方でした。
体力には自信があるということで、普段から仕事もバリバリこなし、とても元気に暮らしていらっしゃったのですが、ある日突然脳梗塞で倒れられて、しばらく意識不明の状態になってしまいました。
幸い一命は取り留めたものの、退院後には右半身に麻痺が残り、意思疎通にも支障が出るように。
結果的に回復には時間がかかり、業務も一時停止せざるを得ませんでした。

このとき、もしもの備えとして遺言や財産管理の手続きを整えていなかったらどうなっていたでしょうか?
実際、倒れられた直後は、ご親族もどこまでサポートできるのか分からず、不動産や預金口座の扱いも混乱していました。
遺言があれば、あらかじめ「自分がどうしたいか」が明記されているため、周囲がスムーズに対応できたかもしれません。
結局、回復に数年を要する間の財産管理や生活資金の確保にかなりの手間と費用がかかり、結果的にその男性は「もっと早く準備しておけばよかった」と後悔されたようです。

もちろん、全員に同じようなリスクがあるわけではありません。
しかし「何かあったとき、誰がどんなふうに自分のために動いてくれるのか」を考えるのは、まさに終活の大切な視点です。
遺言があれば「亡くなった後」だけでなく、「自分が大きな病気やケガで動けなくなったとき」にも非常に役立つシーンが出てきます。
たとえば遺言とあわせて委任状や任意後見制度の利用を検討しておくことで、より安心感が増すこともあるのです。

3. 公正証書遺言とは?

さて、遺言書にはいくつか種類がありますが、その中でも専門家の立場から特におすすめしているのが「公正証書遺言」です。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人のもとで作成する遺言書のことで、法律的にも効力が高く、後から訂正・破棄されにくいという特徴があります。
自筆で書く「自筆証書遺言」も一般的ですが、どうしても法律的な不備や内容の曖昧さによって無効になってしまう可能性もゼロではありません。

公正証書遺言なら、公証人という法律の専門家が目を通し、正式な手続きを踏んで作成してくれます。
そのため「書き方が間違っていたせいで遺言が無効になってしまう」という事態をほぼ回避できるのが大きなメリットだと言えます。
さらに、公正証書遺言は公証役場で原本が保管されますから、「万が一、自宅に保管していた遺言書が火事や災害で紛失してしまった」というトラブルも避けられます。

4. 公正証書遺言を選ぶメリット

4-1. 法的な効力が確実

私の経験上、終活の準備として自筆証書遺言を用意している方にもお会いしますが、ちょっとした言い回しの違いや日付の書き方などでトラブルになることが少なくありません。
たとえば「○○銀行にある預金を長女にすべて相続させる」と書いているのに、別のメモ書きには「預金は孫に渡したい」と書いてあった……なんてケースもありました。
このような食い違いがあると、遺言そのものの効力が争われ、家族間のトラブルに発展してしまうことも考えられます。

公正証書遺言であれば、公証人の関与によって内容を確認し、法的に問題ない形で仕上げられますし、後から勝手に書き足すことも難しいため、安心感が違います。
おひとりさまの場合は、たとえごく少額の財産であっても、少しでも曖昧な表現があると「誰にどのタイミングで渡すのか」が不明確になり、いざというときに揉め事になる可能性があります。
だからこそ、公正証書遺言を選ぶというのは大いに意味があるのです。

4-2. おひとりさまでも安心の相続トラブル予防

「自分は親族とも疎遠だし、相続トラブルなんて起こらないだろう」とおっしゃる方も意外といらっしゃいます。でも、実際には親戚関係が薄いからこそ、いきなり亡くなってしまうと「遺産ってどうなるの?」と周囲が焦り、時間と手間がかかるケースもあります。最悪の場合、自分の意思とはまったく関係のないところで財産が処分されてしまうことも。

おひとりさま終活を円滑に進めるためには、「自分の後に何が起こるか」を想定しておくことが重要です。
そのために、しっかりと遺言書を作成しておくことは、まさに「残された人への最後の思いやり」にもなるでしょう。
私が以前担当した50代の女性は、ご兄弟が複数人いらっしゃったのですが長年不仲だったそうです。
「自分の大切にしているアパートは、将来売却した後、どこかの施設への寄付に回してほしい」というご希望を持っていらっしゃったので、公正証書遺言を作成することで、その意向をはっきりと示すことができました。
こういった明確な指示があると、のちのち紛糾するリスクが減り、平和に事を進めやすいのです。

4-3. 手続きの簡素化

実は公正証書遺言があると、亡くなった後の相続手続きがかなりスムーズになります。
自筆証書遺言を使う場合は、遺言書を家庭裁判所で検認してもらう必要があるなど、結構大変です。
検認自体は形式的なものかもしれませんが、そこで日程を調整したり、戸籍を用意したりというのは、残された側にはなかなかの負担になります。
おひとりさまの場合、身内がほとんどいないとなると、その作業を誰が担うのかという問題も出てきます。

公正証書遺言なら検認手続きも不要ですし、書類としての信頼性が高いため、役所や金融機関の相続手続きでもスムーズに受理されやすいという利点も大きいです。
残された方が少ないほど、一人ひとりが担う作業の負担が増える可能性がありますから、少しでも簡単に進められる仕組みを用意しておくことが終活の賢い選択だと私は思います。

5. 遺言を作るタイミングはいつ?

「遺言を書くほど歳をとっていない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、実際には60代や70代だけでなく、50代や40代でも「もしものとき」に備えて遺言を作成しているケースは珍しくありません。
私が担当した方の中でも、「事業を営んでいて、もし自分に何かあったら会社や財産の管理がどうなるのか不安」というご相談はよくあります。

特におすすめしているのは、以下のようなケースです。

・不動産を所有している方
 マイホームの名義をどうするのか、売却・賃貸などの方向性をどう考えているかを明確にしておく。

・事業を営んでいる方
 会社や店舗の引き継ぎ、保有している株式の処分方法などを決めておく。

・お子様がいない方、または再婚されている方
 法定相続人が限られている、または複雑な家族構成になっているケースでは、トラブルを回避するために一層の注意が必要。

・親族と疎遠である方
 自分の意思がなかなか伝わらない状況だからこそ、遺言の形でクリアに残しておくことが大切。

こうした項目に当てはまらない方でも、「自分が動けなくなったらどうしよう」「財産は少ないけれど、確かに口座は持っているし、何かあったとき困るかも」と少しでも思ったら、早めに相談してみる価値はあります。

6. 実際の公正証書遺言の準備の流れ

大まかな流れとしては、以下のステップを踏むケースが多いです。

1.財産の棚卸し
 預貯金、不動産、株式、保険、そして貴金属やコレクションなど、自分の財産を把握しておきます。
 ここでエンディングノートなどを併用する方もいます。

2.相続人の確認
 誰が法定相続人になるのか、あるいは誰に何を遺したいのかを洗い出します。
 おひとりさまの場合は、「特に遺す相手がいない」というパターンもあるので、そのときは信頼できる団体や施設への寄付なども視野に入れます。

3.分配方法の検討
 「自宅は売却して現金化してほしい」「祖母の代から受け継いでいる土地は残してほしい」など、自分の希望に沿った分配方法を決めます。

4.公証役場との日程調整
 公証人に相談し、必要書類や証人(通常2名)を準備して実際に遺言書を作成します。

5.遺言書の作成・保管
 公正証書遺言として仕上げてもらい、原本は公証役場に保管されます。

ここで大切なのは、わからないところを自分ひとりで抱え込まないこと。
たとえば私ども「老後の相談窓口」でも、状況に合わせて専門家を交えながらサポートを行っています。
もし「自分だけでは不安」という方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

7. 気になる費用の話

公正証書遺言は自筆証書遺言に比べると手間と費用がかかるのは事実です。
公証人の手数料や、財産評価額に応じた手数料などが発生しますので、具体的な金額はケースバイケースです。
ただ、多くの方が「残される人のことを考えると十分価値がある」と納得されています。特に相続手続きの簡略化によって後々発生する費用やトラブルを考えると、先行投資として考える方も多いですね。

実際に私がお話を伺った70代の女性は、「夫が亡くなって相続手続きでこんなに苦労するとは思わなかった。
自分のときは子どもに同じ思いをさせたくないから、公正証書遺言を作っておきたい」と決意されました。
その後、しっかりと遺言書を作成したことで「これで安心して残りの人生を楽しめます」と笑顔を見せてくださったのが印象的でした。

8. おひとりさま終活サポートで大事にしたいこと

私たち「老後の相談窓口」が目指しているのは、おひとりさまでも安心して暮らしていける仕組みづくりと、気持ちに寄り添うサポートです。
遺言の作成はもちろん、日常生活の見守りや将来の介護プランなど、幅広い分野でサポートしています。「自分ひとりでやっていくのは寂しいな」「ちょっと不安だけど、何をどう準備したらいいの?」と感じたら、ぜひ一度ご相談いただきたいです。

おひとりさま終活サポートでは、以下のような点を大切にしています。

・一人ひとりの事情に合わせる
 仕事や趣味のスタイル、家族との関係、住まいの形など、背景は人それぞれ。
 そこをヒアリングしながら、最適な終活プランを提案します。

・精神的なケアも重視
 終活はどうしても「自分の死」を意識する作業でもあり、不安になったり気持ちが落ち込んでしまう方もいます。
 カウンセリングや心理的サポートも視野に入れて進めることで、安心感を持って取り組んでいただけるよう工夫しています。

・専門家との連携
 弁護士、税理士、司法書士、行政書士など、それぞれの専門家と連携しながらワンストップで対応できる体制を整えています。

もしご興味があれば、当窓口のサービス一覧もぜひご覧ください。
老後の相談窓口の終活終身サポート
老後の相談窓口の項目別サービス

9. 具体例・体験談から学ぶこと

ここでは、私が実際にサポートしたあるおひとりさまの事例をもう少し詳しくご紹介します(プライバシーに配慮し、一部設定や表現を変えています)。

Aさん(70代女性・独身・持ち家あり)

・ずっと独身でキャリアウーマンとして活躍
・都心にマンションを所有
・親兄弟は既に他界、遠方に従兄弟が数名いるのみ
・趣味は旅行だが、最近足腰が弱くなってきて不安を感じ始める

Aさんは、「自分が倒れたらこのマンションはどうなる? 従兄弟が引き継ぐのか、自分で売却を指定していいのか」と非常に悩んでいました。
さらに、病気や認知症などになったときに自分の希望を誰が実現してくれるのかも不安だったそうです。
そこで私たちは、まず財産や生活状況、将来の希望をヒアリングし、遺言の作成とともに任意後見契約の検討もおすすめしました。

実際に公証役場で遺言書を作成する際には、「マンションを売却して、現金化した上で一部を動物保護団体に寄付する」ことや、「残った額は従兄弟たちに分配し、供養などに役立ててもらう」ことを明確に記載しました。
これによって、Aさん自身は「今後のことをハッキリ決められたので肩の荷が下りた」とおっしゃっています。
実際に大きな病気などにかかる前に準備できたことで、普段の生活にも落ち着きが出たようでした。

10. まとめ

おひとりさま終活において、「遺言書を準備する」というのは実はとても大切なステップです。
なぜなら、遺言書があることで自分の意思を明確に示せるだけでなく、残された人たちが混乱せずに済むからです。
「子どもがいないから遺産をどうしよう」と迷う方、「再婚していて複雑な家族構成だから、不安が尽きない」という方も多いでしょう。
そんなとき、公正証書遺言があれば法的な効力が確実で、争いやトラブルを回避しやすくなります。

また、遺言書の作成にはある程度の費用や手間がかかりますが、将来的にかかるかもしれないトラブルや、親族・知人への負担を思えば、先行投資としても意義があると考える方は多いです。
そして何より、「これで自分の人生の最終章はこうなる」というシナリオを自分の手で描けることは、おひとりさまにとって大きな安心感につながるはずです。

11. お問い合わせ・ご相談について

私は、ファイナンシャルプランナーや薬剤師としての知識を生かしつつ、終活アドバイザーとして総合的におひとりさまの老後をサポートしています。
「どこに相談したらいいか分からない」「漠然とした不安はあるけど何をしたらいいの?」という方こそ、ぜひお気軽にご連絡いただきたいです。
おひとりさま終活には、遺言だけでなくさまざまな角度からのサポートが必要となります。
一緒に考えていきましょう。

具体的なご相談やご質問がある方は、こちらのページからお問い合わせいただけます。
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また、当窓口では終活や相続に関する情報を随時発信しています。
気になる方は、ぜひブログや他のページもチェックしてみてください。
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最後になりますが、この記事が少しでもおひとりさま終活を考えるきっかけになれば幸いです。
遺言の作成は、思いのほか奥が深く、やり方も多種多様です。
だからこそ、一人で抱え込まず専門家や信頼できる窓口に相談しながら進めていただければと思います。
「自分の将来は自分でデザインする」——そんな気持ちで、一緒に一歩を踏み出していきましょう。

最後までお読みご覧いただき、ありがとうございました。
これからの人生が、さらに安心で豊かなものになりますよう、心より応援しております。