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おひとりさまが認知症になる前にやるべき任意後見の準備

おひとりさまが認知症になる前にやるべき任意後見の準備

「もし自分が認知症になったら、誰が助けてくれるんだろう。」

私が母を亡くしたのは、20歳のときでした。癌でした。急なことで、葬儀の手配も、相続の手続きも、すべて一人でやらなければなりませんでした。何をどこに聞けばいいかもわからないまま、ただ動き続けた記憶があります。

あのとき私が感じた「頼れる人がいない心細さ」は、今でも忘れられません。

それから時間が経ち、祖父母が認知症になりました。今度は支える側として、その現実を間近で見ることになりました。判断力が落ちていく中で、銀行の手続きが止まり、施設への入居もすんなりとはいかない。準備をしておけばよかった、という後悔を、何度も聞きました。

だから私は、この仕事をしています。

一人暮らしで老後の不安を抱える方、特に「認知症になったらどうしよう」と考えているおひとりさまに向けて、今日は「認知症になる前にやるべきこと」を、できるだけわかりやすくお伝えします。難しい話ではありません。ただ、早めに知っておくと、ずっと楽になれる話です。

おひとりさまが認知症になると何が起きるのか

銀行口座が凍結される現実

「認知症になったら、自分の口座からお金が引き出せなくなる。」
これ、意外と知られていないのですが、実際に起きることです。
金融機関は、口座名義人の判断能力が著しく低下していると判断した場合、本人保護を目的として口座の取引を制限することがあります。
引き出しも、振り込みも、止まってしまう。
家族がいればまだ動ける部分もありますが、おひとりさまの場合は誰も代わりに手を打てません。
光熱費の引き落としが止まり、医療費も払えなくなる、というケースが実際に起きています。

入院・施設入居に「身元保証人」が必要になる

病院に入院するとき、介護施設に入居するとき、ほぼ必ずといっていいほど「身元保証人」を求められます。
これは、緊急連絡先になること、費用の支払いを保証すること、退院・退所時に対応することなどを引き受けてくれる人のことです。
一人暮らしの方が「保証人になってくれる人がいない」と断られるケースは、残念ながら珍しくありません。
有料老人ホームでも、公的な病院でも、身元保証人なしでは受け入れてもらえないことが実態としてあります。

身元保証・入院サポートの詳細はこちら

孤独死・財産散逸のリスク

判断力が低下すると、自分で「助けを呼ぶ」こともむずかしくなります。
具合が悪くても、誰かに連絡することを思いつかない。
近所の人も、何日も気づかない、ということが起きます。
財産についても同様です。悪意ある業者に言われるがまま契約してしまう、振り込め詐欺に遭う、不要な保険に加入させられる、といったトラブルが認知症の初期段階で多発しています。
判断力があるうちにしか、守れないものがあるのです。

認知症になる前に絶対知っておきたい「任意後見」とは

法定後見との違い——なぜ「事前」の準備が重要か

「後見」という言葉を聞いたことはありますか。
後見制度には大きく二種類あります。
ひとつは「法定後見(ほうていこうけん)」、もうひとつが「任意後見(にんいこうけん)」です。
法定後見は、すでに判断能力が低下した人に対して、家庭裁判所が後見人を選んで割り当てる制度です。
本人が「この人に頼みたい」と言えるタイミングを、すでに過ぎてしまっています。誰が選ばれるかは、基本的に自分では決められません。
一方、任意後見は、判断力がしっかりある今のうちに「この人に、こういうことをお願いしたい」と自分で決めて、契約しておく制度です。
自分の意思を、自分の言葉で残せる。これが、大きな違いです。
認知症になってから動こうとしても、法律上は「有効な契約ができる状態ではない」と判断されてしまいます。
だから、今動くことに意味があります。

任意後見契約の内容と公正証書の作り方

任意後見契約は、公証役場で「公正証書(こうせいしょうしょ)」という形で作成します。
公正証書とは、法律の専門家である公証人が内容を確認し、国が認める形で記録する文書のことです。
普通の契約書より証拠力が高く、後から「そんな話は知らない」と言われるリスクがありません。

契約書に盛り込む内容は、おおよそ以下のようなものです。
・財産の管理(預貯金・不動産・保険の手続きなど)
・医療・介護に関する手続き(入院・施設入居の契約など)
・日常生活のサポート(公共料金の支払い・各種手続きなど)
・緊急時の対応・連絡先の確認

「難しそう」と感じる方も多いのですが、専門家と一緒に進めれば、思ったよりもスムーズです。
何を決めればいいかを一緒に整理するところから、サポートできます。

後見人は誰に頼めばいいのか

「でも、頼める人がいないから困っているんです」という声を、よくいただきます。
その通りで、家族や友人がいない、いても迷惑をかけたくない、という方が大勢います。
そういった場合は、司法書士・社会福祉士・NPO法人などの専門家や支援団体に依頼することができます。
大切なのは、「今の自分がしっかり選べるうちに選ぶ」ことです。
信頼できる人を探すにも、比較するにも、判断力が必要です。

終活終身サポートの詳細(任意後見・死後事務委任含む)はこちら

認知症を「予防する」ために今日からできること

生活習慣から始める認知症予防(薬剤師の視点から)

薬剤師として長年、患者さんの薬と向き合ってきました。
そこで痛感するのは、「病気になってから治す」より「なりにくい体を作る」ことの大切さです。
認知症のリスクを高める要因として、医学的に明らかになっているものがあります。
高血圧・2型糖尿病・肥満・睡眠不足・喫煙・過度の飲酒などです。
逆にいえば、これらをコントロールすることが、認知症予防につながります。

特に睡眠は重要です。
脳は眠っている間に老廃物(アミロイドβというたんぱく質)を排出しますが、睡眠が乱れるとこれが蓄積し、認知症リスクが高まると言われています。
「よく眠れていない」と感じている方は、まずかかりつけ医や薬剤師に相談してみてください。
薬の飲み合わせが認知機能に影響することもあります。
特に複数の薬を飲んでいる方は、一度整理してみることをおすすめします。

参考:厚生労働省「認知症施策」

社会的孤立が認知症を早める——つながりの大切さ

もう一つ、強くお伝えしたいことがあります。
「孤独」は、認知症を早めます。
これは感覚的な話ではなく、研究データが示していることです。
一人でいる時間が長くなると、脳への刺激が減り、認知機能の低下が早まるとされています。
誰かと話す、外に出る、何かに興味を持つ、それだけで脳は動き続けます。

一人暮らしでも、つながりを持つ方法はあります。地域の集まり、趣味のサークル、シニア向けのコミュニティ。あるいは、定期的に顔を見せてくれる「見守り」のサービスも、孤立防止に有効です。
「人と会う機会」を意識的に作ることが、何より大切な予防策かもしれません。

WHO(世界保健機関)では、科学的根拠のある認知機能低下のリスクを軽減させる12の項目が発表されています。
私は、科学的根拠にのっとった認知機能の低下の予防をサポートしています。

おひとりさまの終活チェックリスト——認知症前にやること一覧

エンディングノートに書いておくべき6つの項目

「エンディングノート」という言葉、聞いたことはあるでしょうか。法的な効力はありませんが、自分の情報や希望を書き留めておくためのノートです。
遺言書ほど難しく考えなくていい。ただ、「今の自分を記録しておく」ためのものです。

書いておくと助かる項目を整理すると、こういったものになります。
・資産・口座・保険の情報(どこに何があるか)
・かかりつけ医・薬・アレルギーの情報
・緊急連絡先(友人・知人・担当専門家)
・ペットのこと(世話の方法・預け先の希望)
・葬儀・お墓についての希望
・自分が大切にしていること・伝えたいこと

大げさに考えなくていいです。
まず「銀行口座の情報だけ書いてみる」から始める方もいます。
書くことで、自分の今を整理できる効果もあります。

任意後見・死後事務委任・身元保証の「3点セット」とは
おひとりさまが老後を安心して過ごすために、私がよくご提案するのが「3点セット」という考え方です。

一つ目が「任意後見」。生きている間の財産管理・医療・介護の手続きを任せる契約です。
二つ目が「身元保証」。入院・施設入居のときに保証人の役割を果たしてもらう契約です。
三つ目が「死後事務委任(しごじむいにん)」。亡くなった後の手続き(葬儀・役所への届け出・遺品整理・ペットの引き渡しなど)を任せる契約です。

この三つは、それぞれ「生きている間」「入院・施設入居時」「亡くなった後」をカバーしています。
どれか一つでは、隙間が生まれます。だから「3点セット」として考えることをお勧めしています。

各サービスの内容・詳細一覧はこちら

費用はいくらかかるのか——老後資金との兼ね合い

「準備したいけど、費用が心配」という声は、とても多くいただきます。正直な話をします。
任意後見契約の公正証書作成には、一般的に数万円程度の費用がかかります。
後見人への報酬は、後見が始まってから月額で発生します。死後事務委任・身元保証を含めたパッケージサービスの費用は、提供する機関によって大きく異なります。

老後の相談窓口では、「安心プラン(34万円)」から「健康プラン(129万円)」まで、状況に合わせたプランをご用意しています。
分割払いにも対応していますので、「一度に大きな出費は難しい」という方にも無理のない形でご相談できます。

早く始めるほど、月々の負担は小さくなります。
「今はまだ早い」と思っているうちに、判断力が落ちてしまうことが、一番のリスクです。

老後の不安を一人で抱えないために——専門家への相談のすすめ

薬剤師・FP・終活アドバイザーがワンストップで対応

老後の準備を「誰に相談すればいいか」という問題があります。
医療のことは医者か薬剤師、お金のことはFP(ファイナンシャルプランナー)、終活のことは行政書士か終活アドバイザー——バラバラに相談してまわるのは、時間も体力も使います。
なにより別々の専門家に相談すると、専門領域だけの対処になり、他の分野と整合されません。

私が代表を務める「老後の相談窓口」では、薬剤師・FP・終活アドバイザーの資格を一人で持ち、医療・お金・終活手続きを一括してサポートしています。
何度も同じ話をする必要がなく、「あの先生はこう言ったけど、こっちの先生は違うことを言った」という混乱も起きません。

横浜を拠点に活動していますが、神奈川、東京、埼玉、千葉に対応しています。

まずは無料相談から——どんな小さな悩みでもOK

「任意後見なんてまだ自分には関係ない」と思っていた方が、相談に来てくれたとき、よくこう言います。
「もっと早く来ればよかった」と。
準備は、早ければ早いほどいい。でも、今からでも遅くない。

大事なのは「今の自分が動ける状態であること」です。
その状態は、ずっとは続きません。
どんな小さな疑問でも、「こんなこと聞いていいのかな」というレベルのことでも、相談していただけます。

無料相談のお申し込みはこちら

参考:裁判所「任意後見の概要を知りたい方へ」

まとめ——今日知ってよかったと、いつか思えますように

この記事でお伝えしたことを、最後に整理します。
認知症になる前にやるべきことは、大きく三つあります。

一つ目は、今のうちに「任意後見」を締結し、判断力が落ちたときの備えをしておくこと。
二つ目は、身元保証・死後事務委任も含めた「3点セット」で、老後のすべてをカバーすること。
三つ目は、生活習慣・社会とのつながりを通じて、認知症そのものを予防すること。

どれも、判断力があるうちにしかできません。

私自身、若いころに「準備のなさ」の怖さを身をもって経験しました。
あのときの自分に言えるなら、こう言います。
「早めに動いておいて、損はない」と。
おひとりさまの老後は、孤独である必要はありません。
頼れる人を、仕組みとして持っておくことができます。

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今すぐ決断しなくていい。ただ、「ちょっと聞いてみようかな」と思ったそのタイミングが、きっとベストなタイミングです。