おひとりさま終活と年金：人生後半を豊かに過ごすためのヒント

まず、一番印象的だったのが、私が以前相談を受けた62歳の佐藤さん（仮名）という方のエピソードです。
佐藤さんは長年独身でいらっしゃって、ある時ふと「自分には頼れる人がほとんどいない。年金だけで生活していけるか不安になった」と思い立ち、私のところへ駆け込んでこられました。

その相談の中で、佐藤さんがしきりに口にしていたのが「もっと早く年金のことを考えておけばよかった…」という言葉でした。
これは本当に珍しいケースではありません。
多くの方が、「仕事があるうちは大丈夫」「年金はまだ先だから大丈夫」と思っていて、60代に差しかかったあたりで体調を崩したり、収入が激減したりして、急に老後の備え不足に気づくんですね。

こうした「後悔」は、ひとりで生きていく可能性が高いおひとりさまにとってより深刻なものになりがちです。
頼れる家族が近くにいないと、病気や介護が必要になった時の費用負担が一気に重くのしかかってきます。
しかも、万が一自分が動けなくなった場合、誰がどこまでサポートしてくれるのかも曖昧なままだと、精神的な不安も大きいですからね。
だからこそ、「年金をはじめとした経済的な基盤を早めに把握しておくこと」が、おひとりさま終活を進めるうえで非常に大切なんです。

「終活」というと、葬儀やお墓のことだけをイメージする方が少なくありません。
遺言書やエンディングノート、お墓のことだけを思い浮かべる方も多いでしょう。
確かに、それらも重要な要素です。でも実際のところは、「自分の人生をしっかりコントロールして、自分らしく最期を迎えるための準備」が終活の本質だと思っています。
そして、そのためには生きているうちの暮らし（特に経済的な面）**が大きく関わってくるわけです。

とりわけ、おひとりさまの場合、誰かにお金の管理を任せたり、いざという時にパートナーが支えてくれたりする環境が薄いケースが多いですよね。
だからこそ、自分の年金がどのくらいもらえるのか、いつから受給をスタートするのか、もし不足があればどうやって補うのか、といった計画を立てておく必要があるんです。

先日、こんなご相談を受けました。
「私はもうすぐ65歳になりますが、できれば70歳まで働ける気もします。でも、体力的にいつまで持つのか不安ですし、早めに年金をもらったほうがいいのか、迷ってしまって…」と。
こういう声は本当に多いです。
特におひとりさまの方だと、働けなくなった瞬間に収入がゼロになりがちなので、「早めに確実にもらいたい」という気持ちが強くなる傾向があります。

一方で、70歳まで待てば、繰り下げ受給で受給額が増えるメリットがあります。
今の時点では元気に働けるけれど、数年後どうなるかわからない。
それなら、ある程度予備費をしっかり確保しておきたい…といった葛藤もありますよね。

私がいつもお伝えしているのは、「こればかりは、正解は人それぞれ」ということ。
具体的には、その方の健康状態や仕事の継続性、目標とする生活レベル、預貯金や他の収入源の有無、そしてなにより「どのように人生を楽しみたいか」によって最適解は変わってきます。
おひとりさまだからこそ、自分の希望をしっかり考えることが大事なんです。

少し具体的なお話をすると、70代前半の女性Aさん（仮名）は、私のところに相談に来られた当時、ご主人が要介護状態でした。
Aさんは全く働けないわけではなかったのですが、「やっぱり介護が最優先だし、週5日のフルタイムは無理」という状況。
そうなると、ご主人が65歳以上で受給している年金と、Aさん自身の年金（繰り下げ受給していた）を合わせて、どの程度の収入があるかをしっかり把握しなければなりません。

さらに、介護施設の利用を検討する際は、月額でどのくらいの費用がかかるのか、どんな介護サービスをどれだけ利用できるかなども細かく見ていく必要があります。
Aさんは、「主人の介護が落ち着いたら、私自身の終活もしっかり進めたい」とおっしゃっていましたが、実際にご主人が要介護になって初めて、「自分の健康が失われるかもしれない瞬間」を強く感じられたのだそうです。

こうしたお話を伺うたびに、私は「年金のこと、終活のことを、一度に全部完璧にしようとしなくてもいいけど、少しずつでも考え始めるだけでも大きな前進なんだよな」と再認識します。
特に介護の場合は、先々いつどうなるかがわかりにくいだけに、早め早めに情報を集め、できる限り将来の選択肢を確保しておくことが大切です。

では、実際に「年金受給計画」を考えるときに、どんなポイントを押さえればいいのでしょうか。
私がよくお伝えしているのは、以下の3つです。

これらを踏まえて、まずは自分自身が「どんな老後をイメージしているか」をできる範囲で整理するのがおすすめです。
特に、「アクティブに旅行や趣味を楽しみたいのか、それとも家でゆったり過ごすのか」など、ライフスタイルの違いが年金計画にも大きく影響してきます。

改めて思うのは、「年金のことを考える＝自分のこれから先の人生設計を具体的にイメージする」という図式です。
私が提供しているおひとりさま終活サポートでは、年金だけでなく、相続や介護、住まいの問題、さらにはお墓や葬儀のことまで、幅広いテーマを一緒に考えるお手伝いをしています。
正直、「あれもこれも」となると混乱してしまう方も多いのですが、まずは年金から着手する、というのはとても効率が良いと思っています。

なぜなら、年金は毎月の収入の柱になり得るものだからです。
ここを土台に、プラスアルファでどんな収入や貯蓄があるか、必要な支出がどれほど生じるかを考えていけば、自ずと老後の暮らしの全体像が見えてくるんです。
そこから、もし不足があるなら「何か仕事を続けるか」「もう少し節約できる部分はないか」「家を売って住み替えるという選択肢はあるのか」など、具体的な検討に進みやすくなります。

最後に、年金のことで不安になっている方や、どこから手をつけていいか分からない方に、私から３つのアドバイスをお伝えします。

私自身、これまで多くの方の「終活」と「年金」にまつわるご相談を受けてきましたが、皆さん口を揃えておっしゃるのは、「もっと早く動いておけば良かった」ということ。
けれど、遅すぎることなんてないと私は思います。今この瞬間からでも、未来は変えられます。
人によってベストなタイミングは異なるかもしれませんし、あまり先走りすぎて心配ばかり膨らませるより、自分のペースで着実に進めるほうが大切なこともあります。

いかがでしたでしょうか。
今回は、「年金受給計画で人生後半を豊かに過ごすためのアドバイス」と題し、私自身の経験や実際の相談事例を交えながら、年金と終活の関係性についてまとめてみました。

ポイントは、
・年金の受給開始時期や受給額の把握は、老後の生活設計の基礎となる。
・曖昧な部分（医療費・介護費・自分自身の健康状態など）を想定し、ある程度の余裕をもたせる。
・家族や身近な人との対話や情報共有を進めることで、想定外のトラブルを防いだり、思わぬサポートを得られたりする。
・専門家（ファイナンシャルプランナー、終活アドバイザーなど）の活用は、状況を整理するうえで大きな助けとなる。

「終活」というのは、「自分の人生を自分らしくまとめる」ための活動でもあります。
もちろん、おひとりさまの方であっても、周囲に頼れる人はきっと見つかるはずですし、その一助として老後コンシェルジュという存在を思い出していただければ嬉しいです。
私のところにも、日々いろいろな方が「こんなこと相談しても大丈夫？」というちょっとした疑問から、「もうどうにかして！」という深刻なお悩みまで、幅広くご相談にいらっしゃいます。

正直なところ、私自身にも答えが見つからないケースはあります。
だけど、一緒に情報を整理したり、状況を見極めたりするだけでも、「何となく漠然とした不安」が少しずつ輪郭を持ち始めるのは、これまでの経験上、感じていることです。
だからこそ、「年金のことが気になるけど、どこから始めれば…」と立ち止まってしまうのではなく、とりあえず一歩踏み出してみてほしいんです。

その一歩が、私のブログを読んでみることであったり、公的年金相談窓口に電話してみることであったり、または家族に「ちょっと真面目に老後の話し合いをしたいんだけど」と切り出すことであったり――形はさまざまです。
どんな形であっても、「やってみる」という行動が、あなたの老後をより豊かに、そして心穏やかにしてくれるきっかけになるかもしれません。

私自身も、これから先、もっともっと多くの方の力になれるように、ファイナンシャルプランナー、薬剤師、終活アドバイザーとしてのスキルを磨いていく所存です。
もしも少しでも「話を聞いてみたいな」「こんなこと相談できるのかな」と思ったら、気軽に声をかけてくださいね。
皆さんが「自分らしい終活」を通じて、より良い未来を描けるよう、一緒に歩んでいきたいと思っています。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
年金や終活に興味を持ってくださった方、疑問や不安を抱いている方の参考になれば幸いです。

また、具体的なご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
あなたにとっての豊かな人生をサポートできるよう、心を込めて対応させていただきます。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。