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葬儀のスタイルは多種多様:一般葬・家族葬・直葬の特徴(おひとりさま終活)

葬儀のスタイルは多種多様:一般葬・家族葬・直葬の特徴(おひとりさま終活)

「どの葬儀が正解ですか?」おひとりさま終活のご相談で、最初にいただくことの多い質問です。
答えはシンプルで、少し曖昧です。「暮らし方人間関係、そして価値観によって変わります」。

だからこそ、一般葬・家族葬・直葬(火葬式)の違いを知り、「自分に合う形」を早めに柔らかく決めておくことが、いちばんの安心につながります。

私は医療とおひとりさま終活の専門家(薬剤師/ファイナンシャルプランナー/終活アドバイザー)の坂井です。

本記事では、おひとりさま目線での選び方・段取り・注意点を、現場の感覚と言葉でまとめました。最後にチェックリスト実例エピソードも載せています。

おひとりさま終活で「葬儀」を先に考える理由

1. 亡くなった直後の“最初の24~48時間”が要(かなめ)

医療現場では、ときに短時間での意思決定が続きます。
連絡、安置先、葬儀社、火葬場の空き確認、宗教者の有無……。
「決める人」がいないと、周囲が困ってしまうことも。おひとりさまは「誰に任せるかの名指し」が最優先になります。

2. 「どんな見送りが自分らしい?」は、体調・価値観とリンク

人付き合いが広いなら一般葬、静かに見送られたいなら家族葬や直葬。宗教儀礼の要/不要、お別れの時間の長さ、費用の上限など、“ゆるく”でも意思表示があると、迷いが少なくなります。

3. 金額だけで決めない(でも“幅感”は知っておく)

費用は地域や時期、式場の空き状況で変動。「このぐらいまで」の上限を決め、見積の粒度(式場・車両・ドライアイス・返礼品など)を確認するのがコツ。
金額に絶対解はありませんが、比較の目は持ちたいところです。

一般葬(多くの参列者を想定)

特徴
・会社関係・ご近所・友人知人など、幅広い会葬を前提にした葬儀スタイル
・通夜・告別式の二日制が多い(地域差あり)
・式場・祭壇・返礼品・会葬礼状などの項目が増え、準備と人手が必要

メリット
・生前にお世話になった方々が直接お別れできる
・式後の気持ちの区切りをつけやすい
・香典を受ける前提なら費用負担が一部相殺されることも

デメリット
・参列調整・返礼品手配など、運営の負荷が大きい
・会葬対応の時間が長く、近親者の体力的負担も増える
・費用の幅が広く、見積比較が不可欠

おひとりさまに向くケース・向かないケース
・向く:生前のつながりが広い/会社・地域の関係が濃い/思い出を共有する場を大切にしたい
・向きにくい:参列の呼びかけが難しい/事前に運営役を担う人が確保できない

家族葬(近しい人だけで、静かに)

特徴
・参列者を家族・親族・ごく親しい友人に絞る
・通夜・告別式の二日制または一日葬(告別式のみ)も選べる
・SNSや年賀状での訃報を後日に限って伝えることも増加

メリット
・静かにゆっくりお別れできる
・受付・返礼の負担が一般葬より軽いことが多い
・参列者数が読めるため、会場や料理の準備がしやすい

デメリット
・後日訃報を知った方から「知らせて欲しかった」と言われることがある
・地域や家のしきたりによっては説明・配慮が必要

おひとりさまに向く・向かない
・向く:ごく近しい方だけで落ち着いて見送りたい/体力面に不安がある
・向きにくい:会社・地域の関係性が強く、案内を絞ると角が立ちやすい

直葬(火葬式/儀式を最小限に)

特徴
・通夜・告別式を行わず、火葬を中心にしたシンプルな見送り
・ごく少人数でお別れの時間を取ることも可能(安置室・火葬炉前で黙祷など)
・宗教儀礼は任意(読経の依頼を別途行うケースも)

メリット
・費用・時間・人手の負担が最小限になりやすい
・生前に「静かに見送って」という意向がある場合に合致
・遠方の親族がいない/仕事の都合で短時間で収めたい場合にも

デメリット
・「もっとゆっくりお別れしたかった」と後悔が出ることがある
・後日のお別れ会(メモリアル)を別途設けるニーズが生まれる
・地域や親族の価値観によっては、理解を得る説明が必要

おひとりさまに向く・向かない
・向く:自分らしく簡素に/参列者の呼びかけが現実的でない
・向きにくい:交流の輪が広い/儀礼を大切にしたい
(関連:もしもの時のために項目別サービス「死後事務」を参照)

宗教儀礼・弔問・香典の「ちょうどよさ」

宗教者の有無
・仏式・神式・キリスト教式・無宗教式など、“自分の言葉で別れたい”方も増えています。読経は「なし」でも失礼ではありません。ただし親族の納得感を意識して、事前に一言メモを残すのが現実的です。

香典・返礼
・受け取らない(辞退)場合は、案内状・会葬礼状で明記。中途半端にすると、受け取る/受け取らないで混乱します。統一ルールを決めておきましょう。

弔問の受け方
・「当日は近しい方のみ」「後日お線香だけ」など段取りを分けると、体力的にも気持ち的にもラクです。

供養の選択肢(納骨・樹木葬・散骨・手元供養 など)

・お墓にこだわらず、樹木葬・合葬墓・海洋散骨・手元供養を選ぶ方も増えています。
・ただ、散骨は地域や海域のルールを守る必要があり、粉骨の程度など実務的な要件があります。
・納骨堂や合同墓は維持負担が軽い一方、場所やアクセスの確認は必須。
・「墓じまい」の可能性があるなら、将来の管理者不在を前提に検討するのが安心です。

おひとりさま特有の段取り(誰が動く?何からやる?)

キーホルダー3点セット
・鍵(自宅)
・財布+身分証(死亡届の同一性確認に関連する場面あり)
・スマホ(連絡先・二段階認証・解約に影響)

直後の大まかな流れ
・医療機関や警察からの連絡受領 → 任せる人が駆けつけ
・安置先の確保(自宅・葬祭会館・民間安置施設)
・葬儀社の手配(見積は最低2社比較が理想)
・死亡届の提出、火葬許可の取得(葬儀社が代行することがほとんど)
・日程確定、連絡、最小限の片付け・貴重品管理

トラブルを避ける見積チェックのコツ

・積算の内訳に曖昧な言葉(例:「一式」)が多すぎないか
・ドライアイス日数、安置料の単価、車両の距離課金をチェック
・式場費に音響・控室・駐車場が含まれるか
・返礼品は個数変更の締切とキャンセル規定を確認
・宗教者謝礼は窓口が誰か、金額レンジは?
・追加費用が出やすいポイント(夜間対応・保管延長)を事前に把握

体験談:実際のご支援から

ケース1:70代女性Kさん——「直葬+後日お別れ会」

Kさんは「迷惑をかけたくない」の一心で直葬を選択。ただ、私たちは“お別れの時間”を大切にしたくて、火葬前に安置室で30分の黙祷と写真スライドを作成しました。
後日、仲の良い喫茶店で8名のお別れ会を開きました。
Kさんの友人は「式場は要らないけれど、話せてよかった」と。費用・体力・気持ちの折り合いがついた好例でした。

ケース2:60代男性Mさん——「家族葬(1日葬)」に“業務連絡”を合わせる

遠方の親族が高齢で、長時間は難しい。
そこで1日葬で区切りをつけ、会社関係には後日弔電・香典の取り扱いを明確に通知。結果、当日の負担が最小化され、職場にも丁寧に配慮できました。

ケース3:交流が広いHさん——“呼ぶ/呼ばない”問題を先回り

一般葬だと受付・返礼が大仕事。そこで家族葬+後日社内メモリアルに分け、当日は近しい人のみ、後日ゆっくり語る場を用意。
「二段構え」は、おひとりさまでも運営が回しやすい現実的な設計です。

よくある質問(おひとりさま終活 × 葬儀)

Q1. 結局、一般葬・家族葬・直葬、どれが一番いい?

「関係性」と「体力・時間」と「費用」の三点で、しっくり来るもの。
答えは固定化せず、いまの自分ならこれくらいの温度感でOK。体調や状況で見直せばいいんです。

Q2. 親族がいない/連絡先が少ない

任せる人(受任者)を事前に決め、死後事務委任や任意後見の検討を。緊急連絡網を2~3名確保できると、初動が安定します。
(関連:終活終身サポート「「万が一の後も安心」プラン」)

Q3. 費用が心配

上限の目安を決め、見積の粒度で比較。香典辞退なら返礼負担が減る一方、費用の相殺は期待できません。
保険金受取や相続の実務との兼ね合いも考えましょう。
(ご相談:お問い合わせ

事前準備チェックリスト(保存用)

□ 希望スタイル(一般葬/家族葬/直葬/未定(候補))
□ 宗教儀礼(あり/なし/未定)
□ 香典(受ける/辞退)と返礼の方針
□ 任せる人(フルネーム・連絡先)を2名以上
□ 緊急連絡先(友人・近隣・仕事関係)
□ 安置先の希望(自宅/式場/施設/未定)
□ 遺影候補の写真(スマホ内のフォルダ名でもOK)
□ 供養の希望(納骨先・樹木葬・散骨・手元供養 など)
□ 上限予算のざっくり感(例:「最大◯◯万円まで」)
□ 連絡方法(電話/メール/LINE/SNS限定公開 など)
□ 鍵・スマホ・財布・保険証/身分証の置き場所メモ
□ ペット・賃貸・公共料金・サブスクの引継ぎメモ

おひとりさま終活 × 葬儀スタイルの“落としどころ”

・一般葬:広いご縁をひとつに集めたいとき
・家族葬:近しい人だけで、落ち着いて
・直葬:静かに、シンプルに。必要なら後日お別れ会で補完

完璧な答えはありません。
だからこそ、いまのベストを決めて、将来の見直し余地を残しておく。
これが、無理なく続くおひとりさま終活です。