こんにちは。私は「老後コンシェルジュ」の坂井と申します。
終活アドバイザー、薬剤師、そしてファイナンシャルプランナーの資格を持ち、特に「おひとりさま終活サポート」という形で、さまざまな方の老後や終末期の不安や悩みをお手伝いしています。
日々いろいろなご相談を受ける中で、最近増えているのが「自分の葬儀をあらかじめ考えておいたほうがいいのか?」というご質問です。
正直なところ、「まだピンピンしているのに葬儀のことなんて縁起でもない」と思われる方も多いかもしれません。
私も最初はそう感じていた時期があったので、「なんだか重たいテーマだな」と身構えてしまうお気持ちはとてもよくわかります。
でも、実際に相談を受けていくうちに、「自分の葬儀をざっくりでもイメージしてみると、心が軽くなるんですね」と驚く方が意外といらっしゃるんですよ。
この不思議な感覚、私自身も最初は「本当かな?」と思っていました。
でも、具体的にお話を伺ってみると、たしかに納得できる部分が多々あったんです。
今回はその点について、私自身がこれまで見聞きしたエピソードや日常的な会話、そしてお客さまからいただいた生の声を交えながら、少し詳しくお伝えしていきたいと思います。
途中、あえて曖昧なままにしておく部分もありますが、それは「人それぞれ違う」というところが、終活やおひとりさまサポートの面白さでもあるからです。
「縁起でもないから話したくない」…でも、想像してみると意外に前向きになれる理由
日本では昔から「死や葬儀の話をするのは良くない」という風潮がありますよね。たしかに、わざわざ考えたくない気持ちが先立つのは当然です。
しかし、人生の幕を下ろす葬儀という場面は、いつか必ずやってきます。準備をまったくしていない状態で突然その瞬間が来たら、残されたご家族や大切な人たちが慌ててしまい、精神的にも肉体的にも負担が大きくなってしまうかもしれません。
そんな時こそ、少しでも先に「こんなふうに送ってもらえたらいいな」というイメージを持っていると、自分自身も安心感を得られますし、家族や周囲も心穏やかに手続きや段取りを進めやすくなるんです。
あるご高齢の女性がお話ししてくださったエピソードが印象的でした。
普段はあまり自分のことを語らないタイプで、「身の回りのことは全部自分で処理できるし、葬儀のことなんて考えてもいなかった」という方でした。
でも、ある日テレビ番組で「自分らしい葬儀を考える人たち」の特集を見て、「自分はどう送られたいのかな?」と急に興味が湧いたそうです。
そこから少しずつご自身の好きだった音楽や、昔飼っていたペットの写真を思い出して、終活ノートにペタペタ貼りはじめたところ、「なんだかワクワクしてきた」と笑顔でおっしゃっていました。
「ワクワク」は言いすぎかもしれませんが、でも少なくとも、暗く沈んだ気分ではなかったというのは事実です。
自分らしいキーワードを思い浮かべると、ふっと笑顔になれる不思議
伝統的なスタイルから、近年は家族葬や直葬、樹木葬などの新しいカタチも広がっていますよね。
「自分はこの辺りがいいかな」と想像してみるだけでも、実は気持ちが少し楽しくなる瞬間があるんです。
たとえば、「自分の好きな花で祭壇を飾ってほしい」と思えば、お花屋さんに足を運んで「私、やっぱりガーベラとかスイートピーが好きかも」と発見がある。
クラシック音楽が好きな方は「モーツァルトの曲が流れる中で送り出してほしいな」と音源を探してみる。
昔から演歌が大好きなおじいちゃんは、「いつものカラオケ仲間と、できれば一曲歌ってお別れしてほしい」というユニークなプランを立ててもいいわけです。
少し極端に聞こえるかもしれませんが、大切なのは「葬儀って、こうじゃなきゃいけない」という縛りを一度外してみることだと思います。
もちろん、宗教上の理由やご家族の意向によっては、すべて思い通りというわけにはいかないかもしれません。
でも、まずは自分の理想を頭の中で膨らませてみるだけで、「あ、こういうのもアリなんだな」と感じられる。
そこから「どうしたらその理想に近づけるか」「周りに相談すべきことは何か」と、段階的に考えを進めていくことができます。
実際、私がおひとりさま終活サポートの相談を受ける際に、「もしあなたが葬儀の演出家だとしたら、何をやりたいですか?」と質問してみると、「うーん、そんなこと考えたことなかった」と最初は戸惑う方が多いです。
ですが、少し時間を置いてみると、「そういえばあの曲がいいかも」「お花より緑の観葉植物が好きだから、少し変わった雰囲気にしたいな」など、面白いアイデアが出てくるんですよ。
その瞬間の表情は、もう「葬儀=縁起でもない」ではなく、むしろ「自分の趣味を表現してみたい」に近い笑顔だったりします。
葬儀の準備は、家族や大切な人への負担を和らげる「やさしさ」
私がこれまでに見てきたケースでも、故人が何も希望を伝えていなかったがゆえに、遺族が右往左往してしまったり、気持ちの整理がつかないまま葬儀の段取りを迫られて疲弊してしまったりすることは珍しくありません。
突然のお別れは心を乱しますし、そのうえ葬儀社との打ち合わせや斎場の手配、式の規模や式次第をどうするか、費用はどう捻出するか…と考えることが山積みになるわけです。
ある方は「母が亡くなったときに、本当に何もわからなかった。
母がどんな花を好きなのか、どの曲を流してほしいと思っていたのかすら知らなかった。
結局、ネットで『葬儀 一般的 流れ』と調べて、その通りにやってしまった。
今でも『本当にこれでよかったのかな』とモヤモヤする」というエピソードを打ち明けてくださいました。
実際、知らず知らずのうちに「後悔」を残してしまうご遺族も少なくないのです。
一方、生前に「自分の希望をちょっと書き残しておく」「好きなものや嫌いなことだけでも家族に伝えておく」というだけで、ご遺族は「ああ、そういえば本人はこんなふうに考えていたな」と思い返すことができます。
たとえそれがごくシンプルなメモ書きや口頭の伝言だったとしても、遺族としては大きな安心材料になるんです。
誰もが無理をしないで故人を送り出せるようになるというのは、何よりの思いやりと言えるのではないでしょうか。
気持ちは日々移ろうもの。「未完成」のままで大丈夫
でも、実際にはそんなことはありません。
葬儀はあくまで「そのときの状況や気分、環境に応じて柔軟に変えられるもの」と考えていただいてOKです。
人生は常に変化しますし、「何が好きか」「どんな雰囲気を望むか」なんて、自分の中でも変わっていくことは普通ですよね。
私自身も、あるときは「しんみりとした落ち着いた式にしたい」と思うのに、数週間後には「やっぱり明るく賑やかな感じのほうが自分らしいかも」と思い直してみたりしています。
そんなふうに移ろう気持ちを、エンディングノートに自由に書き込んでおいて「そのときの自分」を味わうのも、ある意味では終活の楽しみ方なのかなと思います。
それこそ、「本当にお気に入りの曲があるけど、飽きるかもしれないし…」「絶対に和風の祭壇がいいと思ったけれど、洋風のお花が増えてきて心変わりしたかも」といった、曖昧なままの気持ちがある人もいるはずです。
それならそれで、「未完成の状態」でいいんです。むしろ「完成させない」ことで、いつでも「いまの自分」を反映させられる余地が残るとも言えます。
おひとりさまにもメリット大:自分で決められるからこそ生まれる安心感

「私には子どもがいないから、もしものとき誰が葬儀をしてくれるのかわからない」「親族とは疎遠になってしまっているから、余計なトラブルを起こしたくない」などの不安を抱えたまま生活していると、毎日の気持ちにどこか落ち着きがなくなってしまうこともあります。
でも、「自分はこんな葬儀を望む。そのためにどこの葬儀社に頼みたいか」「エンディングノートに加えて、正式な遺言書をどうしておくか」など、いくつかの項目を押さえておくと、それだけで「もし自分に何かあったときでも、大丈夫かな」というほっとした感覚を得られます。
もちろん、詳細な契約内容や費用、プランなどは状況によって変わりますから、専門家に相談しながら進めるのがベストです。
でも、最初の「こうしたいんだ」という意志を持っておくことで、必要な手続きをスムーズに進められるようになる可能性が高いんですね。
あるシニア世代の男性の方は、「長年連れ添ったパートナーを亡くして、天涯孤独みたいな気持ちになっていた。
だけど、自分の葬儀くらいは思うようにプランできるんだとわかったら、前向きな気持ちが出てきた」とお話しされていました。
葬儀の話題というとひたすら暗くなりがちですが、実は「自分らしい生き方を最期まで貫ける」という明るさを取り戻すきっかけにもなり得るのです。
葬儀の話は、今を豊かにする小さなヒントの宝庫
けれど、ちょっとだけ意識してみると、自分が「本当に大切にしたいものは何か」を改めて思い出すきっかけにもなるんです。
たとえば、「自分はたくさんの友人に囲まれて送り出されたい。
そのためには、もっと友人と会う機会を増やさないと…」と気づいたり。
「大好きな音楽をかけてもらうなら、今のうちにオリジナルCDを作っておいてもいいかもな」と、音楽を聴く楽しみがまた違った形でふくらんだり。
「このお花をたくさん飾ってもらいたい!」と思ったら、普段の生活でも部屋にお花を飾って心を華やかにしてみたり。
そうやって、「将来のことを考えること=今の生活の質を高めること」と結びついていくケースが実は多いんですね。
「終活」という言葉は一見してゴールに向かう寂しい作業のように感じられますが、本当は「いまをより豊かに生きるための準備活動」と捉えていただいてもいいんです。
ここに曖昧さや個人差があるのは当然で、私も常々「100人いたら100通りの終活があっていい」と感じています。
具体的にどんなプランを作ればいい? やり方は人それぞれでOK
でも、実際は何から始めればいいかわからない」という声もよく聞きます。
実は、そこに正解や決まった流れはありません。
ただ、エンディングノートは一つの便利なツールです。
葬儀の希望や、遺言、延命治療に関する意思、資産の状況など、幅広い内容をまとめておけるノートですが、「まずは葬儀に関してだけ書いてみる」という使い方でも全然構いません。
「好きな花リスト」「流してほしい音楽リスト」など、自分の希望をメモ書きしておくところからスタートすると気軽だと思います。
また、もう少し踏み込んで、「どの葬儀社がいいかな?」「家族葬なら、式場はどこが近い?」といった具体的なリサーチをしてみてもいいです。
最近はインターネットで情報を集めやすいですし、友人や知人に「もし葬儀屋さんを使ったことがある人がいたら、口コミを教えて!」と聞いてみるだけでも有益な情報が入ってくるかもしれません。
葬儀社によっては、生前相談や事前見積りを受け付けてくれるところもありますよ。
ただし、気合いを入れすぎて疲れてしまわないのも大切。
「葬儀プランを一から十まで完璧に決めなきゃ!」と焦ると、ストレスがたまってしまいます。
あくまで「今のところ、こんな感じがいいかな」という軽い気持ちで始めるのが長続きのコツなんですよね。
それでも不安なときは、プロや信頼できる人を頼りましょう
そういう時こそ、老後コンシェルジュといった専門家に相談するのは一つの手です。
私自身も薬剤師としての知見を活かしながら、「健康状態に合わせてどんな医療措置が必要になるか」や「終末期にどのようなサポートを受けたいか」といった点でアドバイスしています。
さらに、ファイナンシャルプランナーの視点からは、「葬儀費用をどのように備えておくか」「どのくらいの金額を想定しておけば安心か」などの具体的なプランを提示できることも多いです。
「家族に迷惑をかけたくないからこそ、誰にも言えなくて勝手に悩んでいる」という方も多いですが、意外と周囲には同じような思いを抱えている人がいたり、一緒に考えてくれる専門家がいたりします。
無理をせず、ちょっと手を借りてみるだけでも、「あ、こんなに気楽に考えていいんだ」という発見があるはずです。
私が「終活」を語る理由:今をより自由に、豊かに生きるために
葬儀というと「死の直前の暗い話」と感じるかもしれませんが、実はそこには「自分がこれまで築いてきた人生をどうまとめたいか」というポジティブな視点が含まれていますよね。
たとえば、「大切な友人や家族と、どんな時間を共有したいか」「私が最期に見ていたい風景はどんなものか」「自分の人生を語るとき、どんなエピソードを大事にしたいか」などなど。
そんなことを考えると、自然と「今の自分はどう生きたいのか?」につながってくるんです。
つまり、終活は「最期」だけで完結する話ではなく、「今この瞬間の心の在り方」を豊かにしていく一連のプロセスとも言えます。
まずは「葬儀」を考えるきっかけから始めてみませんか?
「こんな音楽がいいな」「あの人たちに囲まれて送り出されたいな」「お花はこういう色合いが好みだな」――そんなささやかなイメージからで十分です。
それを誰かに話してみるのもいいでしょう。
あるいはメモしておくのでもいい。
エンディングノートにまとめてもいいですし、スマートフォンのメモアプリなどを使ってもかまいません。
いつでも修正できるし、やり直しも自由。実際に葬儀をする段階になれば、状況によって大きく変わることだってあるでしょう。
「未完成」であることが当たり前だし、むしろそこに「あなたらしさ」が表れると私は思います。
もし周囲に相談できる相手がいなくて不安なら、遠慮なく専門家にご相談ください。
私もその一人として、あなたがどんな人生を歩んできたのか、どんな思いを抱えながら将来を見据えているのか、お聞きしながら一緒にプランを作り上げるお手伝いをしています。
「葬儀=うんざりする暗い話」ではなく、「これからを少しだけ明るくしてくれる安心プラン」として捉えられるようになるといいですよね。
まとめ:自分の葬儀を思い描くことは、未来の自分に向けた優しい贈り物
私が伝えたいのは「いま考えることで、今を明るく生きられるかもしれない」ということです。未来の自分のために用意する小さなメモや、エンディングノートの数行が、実は今の自分に安心感を与えてくれる。家族や友人に対する思いやりにもなり、最終的には「自分らしさ」をしっかり表現できる葬儀につながる。葬儀というのは、決して「悲しみだけの場」ではなく、「人生のエピローグを丁寧に紡ぐ舞台」でもあるのではないでしょうか。
なので、「ちょっと気が早いかな?」と思うくらいでちょうどいいんです。
今日、思いついたアイデアをノートに書いてみる。
明日、気分が変わったらまた違うアイデアを追加する。
その繰り返しの中で、自分らしい生き方と、そして自分らしい最期の迎え方が少しずつ見えてくるのかもしれません。
もし具体的にご相談されたい場合や、どこから手をつければいいのかわからないという方は、どうぞお気軽に声をかけてくださいね。
終活アドバイザー・薬剤師・ファイナンシャルプランナーの3つの視点から、あなたに合ったアドバイスを一緒に探っていきたいと思います。
無理なく楽しく、そして安心して、これからの日々を過ごしていくための「ちょっとした準備」。それが「おひとりさま終活サポート」の原点であり、私のライフワークです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
何か一つでも「これならやってみようかな」と思えるヒントがあれば嬉しいです。
自分自身の人生の幕引きを自分らしく飾る。その準備は、思っているよりも自由度が高く、そして日常を少しだけ豊かにしてくれるものだと、私は信じています。
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