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高齢者の住まい選びで人生を豊かに ~生活環境見直しのタイミング~

高齢者の住まい選びで人生を豊かに ~生活環境見直しのタイミング~

こんにちは。「おひとりさま終活サポート」を行っている老後コンシェルジュの坂井です。私は、薬剤師・ファイナンシャルプランナー・終活アドバイザーの資格を持ち、これまで多くの高齢者の方々と接してきました。そんな私が日々感じているのは、「高齢になっても自分らしく生きるためには、住環境の見直しがとても大切だ」ということです。

なかには「今の家が落ち着くから、引っ越しなんて考えたくない」という方もいらっしゃるかもしれません。正直なところ、私自身も自宅を離れるときには「ここにずっと住んでいたい」という気持ちがわいてくるのではないか、と思うことがあります。ですが一方で、「このまま住み続けられるのかな」と不安になることもあるでしょう。実際に、私がご相談を受ける場面でも、「まだ大丈夫だと思っていたら、お風呂場で転びかけて急に怖くなった」というエピソードをうかがうことは決して珍しくありません。

このブログ記事では、私がこれまで出会ってきた方々のお話を交えながら、高齢者の住まい選びのポイントや生活環境を見直すメリット、さらにタイミングや具体的なステップについてお伝えしていきたいと思います。もちろん、すべての方に当てはまるわけではなく、それぞれの暮らし方や価値観によっては「絶対に引っ越しが必要」というものでもないというのは、私も重々理解しているつもりです。あくまでも一つの考え方として、あるいは将来の選択肢のひとつとして読んでいただければ幸いです。

私が老後コンシェルジュとして日々感じること

まずは、私が「おひとりさま終活サポート」を通じて実感していることを、少し共有させてください。

83歳・佐藤さん(仮名)のエピソード

先日、83歳の佐藤さん(仮名)とお会いする機会がありました。
佐藤さんは一人暮らしを続けており、もともとは「まだまだ自分で動けるし、大丈夫だ」と自信を持っていたそうです。
ところが、ある日、お風呂場で転びそうになり、「こんなことでケガをしたらどうしよう」と急に不安になったのだとか。

階段の上り下りが少しきつくなっていたり、庭の手入れが負担になってきたりしていたのは自覚していたものの、「いつかは住み替えも考えた方がいいのかな。
でも今じゃなくてもいいかもしれない…」と、ずっと先送りにしていたそうです。
そんな葛藤を抱えるうちに、お風呂場でのヒヤリハットが決定打になり、「やっぱり対策を考えなくちゃ」と思い立ったそうです。

これって、とてもよくあることだと思います。
私が日々接するなかでも「そんなに心配しなくても、まだ動けるから大丈夫」と言っていた方が、ちょっとしたアクシデントをきっかけに、「どうしよう、将来が急に不安になった」と心境が変わる場面をたびたび目にします。
一方で、「元気なうちから環境を整えておいた方が、逆に自分らしく生きられる」と、比較的早めに住み替えを決断される方もいます。
どちらが正解というわけではありません。
ただ、こうした“きっかけ”が起きるか起きないかは、運やタイミングによる部分もあるので、「少し考えてみてもいいかもしれない」と頭の片隅に置いておいてほしいな、というのが私の正直な思いです。

住環境を見直すメリットは意外と多い

住まいを変えるとなると、たしかに引っ越し費用や見学に行く手間、家族との話し合いなど、いろいろ大変そうなイメージを持たれるかもしれません。
私も、引っ越しの荷造りだけでも相当大変だということは想像できますし、それだけでも腰が重くなることはありますよね。
でも、住環境を見直すメリットは、実は想像以上にたくさんあるんです。ここでは、あえて3つにまとめてみます。

1.安全性の確保

年齢を重ねると、どうしても体力の低下は避けられません。
若い頃には何でもなかった段差や階段が、気づけば障害物になっていたり、思わぬケガの原因になったりします。

・バリアフリー設計による転倒リスクの軽減
・24時間の緊急通報システム
・医療機関との連携体制

こうしたサポートが充実している高齢者向け住宅やサービス付き高齢者向け住宅では、実際に入居者の方々が生き生きとして暮らしている様子をよく目にします。
私自身、何度か施設見学に付き添ったことがあるのですが、明るい雰囲気の食堂で食事を楽しんでいる入居者の方々を見て、「こんなに元気で過ごせるんだ」と驚いた経験が何度もあります。

もちろん「施設」という言葉に抵抗を覚える方も多いかもしれません。
私も、なんとなく「堅苦しい」とか「自由が利かない」といったイメージを持ってしまいがちでした。
でも、実際に見学をしてみると、「自立型の生活」を応援してくれるところが増えているのに驚きます。
施設によっては、外出も自由ですし、自分で料理を楽しめるスペースを用意しているところもあります。
そういう環境なら、「介護される立場になったらどうしよう」という不安も和らぐのではないでしょうか。

2. 経済的な安心感

次に、ファイナンシャルプランナーとしての視点から言わせていただくと、住環境を早めに見直すと経済的にもメリットがあることが多いです。

・将来のリフォーム費用が不要になる
・介護保険サービスとの連携によって支出の適正化が図りやすい
・予期せぬ出費への備えが立てやすい

たとえば、戸建てに住んでいる場合、段差の改修や手すりの設置、お風呂やトイレのリフォームなど、年齢を重ねるにつれて必要な改修費用がかさむことがあります。
もちろん、それらの費用をきちんと確保しておけば問題ないかもしれませんが、リフォームに時間がかかる場合、工事中の住まいをどうするかといった心配も出てきます。

実際に、70代のご夫婦が早めに住み替えを決断したことで、退職金を有効に活用でき、老後の生活設計がスムーズになった、というお話をうかがったことがあります。
お二人は「もし今の家をリフォームしても、また別のところが不便になるかもしれない。
でもここに移れば、将来的にもずっと安心して暮らせる」と納得できたそうです。

3.コミュニティとのつながり

これは私が最も大切だと感じている部分です。
どうしても歳を重ねてくると、ご近所づきあいが減ってしまったり、友人との交流が少なくなってしまったりする方が多いです。
一人暮らしの場合は特に、「一日中誰とも話さない」なんてこともあるかもしれません。
でも、新しい住まい、たとえば高齢者向けマンションや施設などに移ると、同世代の仲間との交流が自然に生まれたりすることがあります。

私の知り合いで、75歳の田中さん(仮名)は引っ越し当初、「ここでうまくやっていけるだろうか」と不安を抱えていました。
けれど、新しい環境の中で暮らしてみると、同年代の友人ができて、毎日のようにお茶を楽しむ仲間が増えたそうです。
「一人暮らしのときよりも笑う回数が増えて、気がつけば生活が充実してきた」と笑顔で語ってくださったのがとても印象的でした。
こうした人間関係のつながりは、心身の健康維持にも大きく寄与しますし、何より「孤独感」を癒してくれると思います。

見直しを検討するタイミングはいつ?

正直言って、これがベストタイミングです! という絶対的なタイミングは存在しません。
人によって環境や身体の状態、経済状況、家族構成も違いますし、「大きなケガや病気をするまでは今のままがいい」という考え方もあれば、「動けるうちに自分で決めたい」という考え方もあるでしょう。どちらも、もちろん尊重すべきです。

それでも、あえて挙げるならば、以下のような変化を感じ始めたら「ちょっと情報収集でもしてみようかな」というサインかもしれません。

・階段の上り下りが少しキツく感じるようになった
・掃除や食事の準備が面倒に感じることが増えた
・電球の交換など、ちょっとした作業が難しくなってきた
・家族や友人との交流が減り、孤立感を感じることが増えた

私のところに相談にいらっしゃる方の中には、「最近足腰が弱くなったのを感じる」「頻繁に家の中で物を落として拾うのが辛くなった」など、微妙な体調の変化や生活の面倒くささを感じるようになってから、決断されたケースが多いですね。
ただ、その場ですぐに引っ越しを決断する必要はなく、「今後に備えて資料だけ集めておく」「実際に施設見学へ行ってみる」ぐらいから始めてみるのでも、十分だと思います。

具体的な行動ステップ

では、実際に住環境を見直そうと思ったとき、どのように動けばいいのでしょうか。
なかなかイメージが湧かないという方も多いと思いますので、大まかなステップを簡単にまとめてみます。

1.まずは情報収集

・地域の高齢者向け住宅の見学会に参加
・実際に住んでいる方々の口コミや感想を聞いてみる
・費用面の試算を行う

これは、最初のハードルかもしれません。
「色んな施設やマンションがあるけれど、どれが自分に合っているのかわからない」という声をよく聞きます。
私の場合は、一緒に見学に行って、実際に現地を見ながら話を伺うことが多いです。
というのも、カタログやホームページだけではわからない雰囲気が必ずあるからです。
「スタッフの方の対応が親切そうだった」「食事が美味しそうだった」など、リアルな感覚はやはり行ってみないとわかりません。

2.家族との相談

・今後の生活イメージを共有する
・経済面での話し合い
・緊急時の対応について考える

「自分ひとりの問題だから」と思われる方もいるでしょうが、家族にとっても大切な問題です。
離れて暮らすお子さんや兄弟がいる場合は、彼らの意見を聞いておいた方が、後々トラブルを避けやすいです。
たとえば、もしご自身が施設に入るとなると、今の家を売却するのか貸し出すのか、管理はどうするかなど、いろいろと考えることが出てきますから、「こんなふうにしたいと思っているんだけど、どうかな?」という形で提案してみるだけでも、気持ちが楽になると思います。

3.専門家への相談

・医療・介護の必要性の評価
・財務面のアドバイス
・法的な手続きの確認

私自身、薬剤師やファイナンシャルプランナーという立場から「どれくらい医療サポートが必要か」「資金計画はどう立てるか」といったことをお話しすることがありますが、もっと詳しい場面では弁護士や税理士、不動産の専門家の知識が必要になることもあります。
特に、相続や契約の問題は専門家の意見が欠かせません。
相談窓口はいろいろとありますが、行政の無料相談会などを活用してもいいでしょう。

「早すぎた」という方より「もっと早くすればよかった」という方が多い

私が多くのご相談を受けてきた中で感じるのは、住み替えや住環境の見直しについて「もう少し早く動いておけばよかった」という声の方が圧倒的に多いということです。
一方で「もっと遅らせればよかった」「早くしすぎて後悔している」というお話はほぼ聞きません。

先日お会いした90歳の鈴木さん(仮名)は、85歳のときに高齢者向け住宅に移られました。
鈴木さんは体調を崩して病院へ運ばれたことがきっかけで、「動けるうちに自分で決めたい」と思い立ったそうです。
「子供たちに負担をかけずに、自分の意思で住まいを決められたからこそ、今こうやって新しい生活を楽しめている」と笑顔でおっしゃっていました。
それを聞いて私も、「やはり“自分の意思で選ぶ”って大切だなあ」と改めて感じました。

もちろん、いま現在、まだまだ元気で家事もこなせるという方は、わざわざ無理して住み替えをする必要はないかもしれません。
それでも、「今の家に住み続ける未来が想像しづらい」とか「ちょっとでも不安を感じる部分がある」とか、そういう心当たりが少しでもある方には、一度情報収集してみる価値はあるのではないでしょうか。

私自身の体験や考え方

ここでちょっとだけ、私自身の経験についても触れたいと思います。
私の祖母が晩年、独り暮らしをしていたことがありました。祖母はとても元気な人で、「そんなに心配しなくても平気だよ」と言っていたのですが、ある日、台所で足を滑らせて転倒してしまったんです。
そのときは大きなケガには至らず済んだのですが、「あれで骨を折ったらどうなっていたんだろう」と私は本当に冷や汗が出ました。

その後、家族で話し合い、「施設も考えてみようか」と提案したのですが、祖母は「施設なんて絶対にイヤ」と抵抗が強かったのです。
私もその気持ちはわかりますが、やはり安心できる住まいでの暮らしも選択肢のひとつとして考えてほしいと思い、相談に乗りながらいくつかの施設を見学しました。
最終的には祖母自身が「ここなら家に近いし、スタッフも優しいから大丈夫かも」と思える場所を見つけられたので、早めに行動してよかったと今でも思っています。

「人にすすめるのは簡単だけど、自分の身内となるとまた別だ」と感じる方もいるでしょう。
でも、一度行動を起こしてみると、意外と視野が広がりますし、家族とのコミュニケーションも深まります。
私自身、そのとき祖母とたくさんの会話をして、お互いを理解するきっかけになりました。
結局、住まい選びは「人生そのもの」を見直す機会にもなるのだと痛感しています。

まとめ:住環境の見直しは「最後の手段」じゃない

最後になりましたが、改めてお伝えしたいのは、「生活環境の見直し=終わりの手段」では決してないということです。
どちらかというと、「より豊かに、自分らしく、生き生きと暮らすため」の積極的な選択肢だと私は考えています。

もちろん、「完全に引っ越す」「施設に入る」だけが答えではありません。
現住まいをリフォームして住み続ける道もあるでしょうし、デイサービスを利用するなどして、コミュニティとのつながりを強化する方法だってあります。
大切なのは、「自分にとって一番心地よい暮らし方はどれだろう?」と問いかけること。
そして、その答えを探るなかで「まだ迷いがあるから、もうちょっと様子を見よう」となるなら、それもひとつの選択です。

ただし、「動けるうちに」「自分の意志で」選べるというのは、大きなメリットだと私は感じています。
一歩行動してみると、これまで見えなかった情報や施設、サービスがいろいろと見えてきて、「こんな選択肢があったんだ」と驚くこともしばしばです。
迷う気持ちももちろんあると思いますが、まずは情報収集から始めてみることをおすすめします。

もし、住環境の見直しや「終活」について悩んでいる方がいたら、ぜひ気軽にご相談ください。
「おひとりさま終活サポート」として、私はいつでもお手伝いさせていただきます。
これまで培ってきた薬剤師・ファイナンシャルプランナー・終活アドバイザーの知識と経験を総動員して、皆様が安心して暮らせる老後をサポートいたします。

私自身、「絶対にこれが正しいんです!」と断定するようなタイプではありません。
むしろ、「いろいろな可能性を一緒に見てみませんか?」というスタンスでお話をお伺いしています。
やっぱり人それぞれにライフスタイルがあって、望む暮らし方も違いますから、一緒に考えながら道を探っていくことが大事なのかな、と思います。

何かを決めるタイミングは本当に人それぞれ。「ちょっとだけ興味がある」という段階でも構いません。
自分の人生をどう充実させるか、その選択肢のひとつとして「住環境の見直し」があるんだ、ということを覚えておいていただければ、うれしいです。
私も、これまで関わってきた多くの方々が、住環境を整えることで、笑顔を取り戻し、家族との関係がより円滑になったり、趣味を楽しむ余裕が生まれたりする様子を見てきました。
それは本当にすばらしいことだと思います。

少しでも「なんだか気になるな」と思ってくださった方は、ぜひご連絡ください。
メールでも電話でも、SNSのメッセージでも、今はさまざまな方法があります。
最初は誰でも不安なことがいっぱいだと思いますが、一緒に話すうちに「こんな形もいいかもしれない」と明るい未来をイメージできるようになるかもしれません。

これからも皆様が自分らしく、安心して暮らせるための情報を発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上、老後コンシェルジュの坂井でした。
皆様のより良い選択のお手伝いができる日を、心からお待ちしています。

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