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老後のお金を守る詐欺対策~おひとりさま終活を安心してすすめるために~

老後のお金を守る詐欺対策~おひとりさま終活を安心してすすめるために~

こんにちは。終活アドバイザー・薬剤師・ファイナンシャルプランナーの資格を持つ老後コンシェルジュの坂井です。
近年、少子高齢化や単身世帯の増加に伴い、おひとりさまとして老後を迎える方が増えています。

その一方で、「老後のお金」に関するトラブル、特に詐欺に巻き込まれてしまうケースも増加傾向にあります。

詐欺被害にあわないためには、終活を進めながら情報を正しく理解し、具体的な対策をとることが大切です。

今回は、「老後のお金を守る詐欺対策」をテーマに、主におひとりさまが気をつけるべき詐欺の手口や、具体的な対策、そして実際に起こりやすいトラブル事例などを交えながら解説します。

老後の資産を守りながら、おひとりさま終活を安心して行うためのヒントになれば幸いです。

1.おひとりさまと詐欺被害の増加背景

日本では高齢化が進む中、配偶者や子どもがいない、あるいは遠方に住んでいて頻繁に交流ができないなどの理由から、おひとりさまとしての生活を選択する方が増えています。
おひとりさまは、時に身近に相談できる親族や友人が限られがちなため、下記のような懸念があります。

・大切なお金に関する情報を共有できる相手が少ない
・決断を一人で行うことが多くなり、詐欺のターゲットにされやすい
・詐欺被害を受けても周囲が気づきにくい

こうした環境から、特に高齢者を狙った振り込め詐欺・還付金詐欺・投資詐欺などの被害が報道されることが多くなっています。
さらに家族がそばにいないおひとりさまにとっては、「誰に相談したら良いのかわからない」と戸惑いの中で詐欺にあってしまうケースが目立ちます。

このような状況だからこそ、終活を通じて自身の老後資産を守るための知識を得て、詐欺対策を強化することが重要になってきます。

2.主な詐欺の種類と手口

ここでは、高齢者が巻き込まれやすい主要な詐欺の種類と、その特徴的な手口を見ていきましょう。

2-1.振り込め詐欺

振り込め詐欺とは、親族や知人を装って「交通事故を起こした」「会社のお金を使い込んでしまった」などと電話で急を要する話をし、金銭を振り込むように迫る詐欺の総称です。
「オレオレ詐欺」と呼ばれることも多く、一人暮らしの高齢者がターゲットになりやすい手口です。
最近では、声を録音してリアルに聞かせたり、AIによる音声変換など巧妙な手段も使われ始めています。

2-2.還付金詐欺

還付金詐欺は、市区町村などの役所や税務署職員を名乗って「年金の過払いがある」「医療費の還付金がある」などと連絡し、ATMで手続きをするよう指示し、振り込み操作をさせる手口です。

役所などの公的機関がATM操作を指示することは通常あり得ないのですが、「わからないことがあれば案内しますよ」などの声掛けにより安心させ、結果的にお金を詐取する例が相次いでいます。

2-3.投資詐欺

未公開株や仮想通貨など、専門知識が必要な投資商品を高齢者に勧誘し、「絶対に儲かる」「元本保証」などと誤解を与えて出資を募る手口です。
投資に関する経験が少ない人ほど「儲け話」だと思い込んでしまい、高額な詐欺被害を受けてしまうこともあります。
また、おひとりさまが将来の生活費を増やそうとして投資を検討する際に、悪質な勧誘に乗ってしまうケースもあります。

2-4.不動産関連詐欺

老後の住まいをどうするかは、おひとりさまにとっても重要なテーマです。
その際、「格安でリフォームできる」「すぐに買い手がつくから転売して大儲けできる」などとうまい話で近づき、高額な契約を結ばせる詐欺手口が存在します。
リフォーム詐欺では、簡易点検を装って住宅に入り込み、「ここが壊れている」「すぐ工事しないと危険だ」などと脅し、相場より高い費用を請求することもあります。

2-5.その他の詐欺

上記以外にも、架空請求詐欺やSNS上で知り合った相手から金銭を騙し取られる「ロマンス詐欺」、さらには「宝くじが当たったので手数料を払えば受け取れる」などの手口まで、その種類は非常に多岐にわたります。

共通して言えるのは、「不安をあおる」「一刻を争うふりをする」「高齢者でおひとりさまの環境を狙う」「相手との対面が少ない(電話やメールのみで完結)」といった特徴を持っている点です。

3.老後のお金を守る具体的な詐欺対策

詐欺の手口を理解したところで、次は具体的な対策を見ていきましょう。
おひとりさまが日常生活のなかで簡単に実践できるものから、専門家の力を借りる必要があるものまで、幅広く紹介します。

3-1.電話やメールでのやり取りを慎重にする

詐欺被害の多くは、電話やメールを入り口に発生します。
そのため、「知らない相手からの連絡には安易に応じない」ことが第一歩です。

・知らない番号の電話は出ない、留守番電話を活用する
・電話口でお金の話が出たら、一度電話を切って落ち着いてから確認する
・公的機関や金融機関を名乗る電話でも一度保留し、自分から正式な窓口へ問い合わせる
・不審なURLが記載されたメールは開かない、添付ファイルはダウンロードしない

また、還付金詐欺などは「今すぐ手続きしないといけない」「急がないと損をする」と急かしてくるのが典型です。
焦らずに、一呼吸置いて対応を考えるだけで防げるケースも少なくありません。

3-2.家族や信頼できる人と情報を共有する

おひとりさまにとっては、「身近に家族がいない」ことが悩みの種になりがちです。
しかし、親戚や友人、昔からの知り合いなど信頼できる人がいれば、大きなお金の移動などは必ず誰かに相談する仕組みをつくっておくと安心です。
もし親族や友人との交流が難しい場合は、地域の包括支援センターや民生委員、私たち「専門家」に問い合わせるなどの方法も検討しましょう。

3-3.口座管理や振り込み限度額を設定する

銀行口座やクレジットカードの利用上限を必要最低限に設定しておくと、万が一詐欺に遭ってしまった場合でも、被害額を最小限に抑えられます。
振り込み限度額やキャッシュカードの引き出し限度額を低く設定しておき、「高額振込は別の口座を利用する」などのルールを決めるのも効果的です。

3-4.公的機関や専門家のサイトを確認する

国民生活センターや警察庁のホームページでは、最新の詐欺手口や注意喚起情報が随時更新されています。
たとえば、国民生活センターのウェブサイト:https://www.kokusen.go.jp/では消費生活に関するトラブル事例や対処方法が紹介されています。
おかしな連絡を受けたときは、まずはこうした公的機関の情報をチェックする習慣を持つと安心です。

3-5.複数の口座や資産管理サービスを使う

ひとつの口座やひとつのカードだけを使っていると、そこからすべての資産が引き落とされるリスクが高まります。
余裕資金と生活費用を分けるなど、複数の金融機関口座を使い分けることでリスク分散ができます。

また、万が一のときに情報をしっかり把握しておくためにも、どの口座にどれだけ資産があるかを一覧化しておくことをおすすめします。
これは終活の財産目録にもつながり、遺品整理の段階で誰かに迷惑をかけるリスクを減らす効果もあります。

4.詐欺対策を強化するおひとりさま終活のポイント

詐欺対策は日常的な注意だけでなく、終活という視点からもしっかり取り組むべきテーマです。
終活とは、主に以下のような項目を整理しながら、自分の最期の準備をすることを指します。

・財産や資産の整理
・エンディングノートの作成
・葬儀やお墓の準備
・介護や医療の希望
・遺言書の作成

特に財産や資産の整理を行う際は、金融機関口座や証券口座を可視化し、不要な口座を解約するなどの作業を行うことになります。
このとき、おひとりさまの場合は相談相手が少ないために不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、この「不安」こそが詐欺犯に狙われやすい要素でもあります。
逆に、正しい知識や専門家との連携を通じてしっかりと資産を把握しておけば、詐欺のターゲットになりにくい状況を作れます。

また、エンディングノートには自分の資産に関する情報、連絡してほしい親族や知人の連絡先を書いておくと安心です。
ただし、エンディングノートは法的効力を持たないため、財産の分配については遺言書の作成も視野に入れましょう。
これらの手続きを通じて、自分だけでなく周囲も自分の老後に関する情報を把握しやすくなります。

5.トラブル事例から学ぶ心構え

実際の詐欺事件を耳にしても、「自分は引っかからないだろう」と考えてしまう方は意外に多いものです。しかし、詐欺被害者の多くは「自分がまさか騙されるなんて……」と後で驚くケースがほとんどです。ここでは、いくつかの例を挙げてみます。

5-1.還付金詐欺でATMを操作

Aさん(70代・女性)は、ある日「市役所の者です。年金の還付金が出るのでATMで手続きをしてほしい」という電話を受けました。
最初は怪しいと思ったものの、「○○市役所」と名乗られ、名前や住所も当たっていたため信じかけてしまいます。
そしてATMへ行き、誘導されたとおりに操作してしまったことで、結果的に数十万円を詐欺グループに振り込んでしまいました。
後から家族に相談したところ、「役所や税務署がATMでの手続きを指示することは絶対にない」ということがわかり、警察に通報したものの、お金は取り戻せませんでした。

5-2.投資詐欺で高額の“出資金”を騙し取られる

Bさん(60代・男性)は、おひとりさまで将来の生活費に少しでも余裕をもたせたいと、投資を検討していました。
そんなときに「今なら元本保証で年利10%が狙える」とSNSを通じて勧誘を受け、説明会に参加。会場にはそれらしい資料や専門家を名乗る人がいて、巧みな口調に安心感を覚えたため、高額な出資をしてしまいました。

ところが、それ以降は一切配当金が入らず、連絡もつかない。
後々わかったのは、その勧誘会社自体が実態のない詐欺団体だったということでした。
Bさんは恥ずかしくてなかなか誰にも言えず、警察や金融庁に通報が遅れてしまいました。

どちらのケースも、「そんなに都合のいい話はない」「公共機関がそんな対応をするはずがない」という常識を思い出せば防げたかもしれません。
しかし、ちょっとした油断や不安、孤独感につけ込まれると、冷静な判断が難しくなりがちなのです。

6.日頃からできる小さな習慣づくり

詐欺対策は特別なことをするというより、日頃の小さな習慣が大きな防波堤になります。
たとえば、以下のようなことを心がけると良いでしょう。

6-1.新聞やニュースで最新の詐欺情報をチェック

新聞やテレビ、インターネットのニュースサイトなどでは、詐欺事件に関する報道が頻繁にあります。
週に一度でも、「最近こんな詐欺が流行っているんだ」とアンテナを張っておくと、いざ自分が同じ手口に遭遇したときにも気づきやすくなります。

6-2.定期的な資産確認と口座チェック

銀行口座の利用明細やクレジットカードの請求書をこまめにチェックし、不審な引き落としがないかを確認します。
最近ではネットバンキングやアプリで手軽に口座残高を確認できるので、1週間に1回程度は「異常がないか」をざっと見るだけでも安心感が違います。

6-3.地域コミュニティやサークルへの参加

おひとりさまであっても、趣味のサークルや地域の集まりなどに参加してみると、いざというときに相談しやすい仲間ができます。
何気ない世間話の中で「こんな電話がかかってきたけど、これっておかしくない?」と確認できるだけで、詐欺を回避できることがあります。
最近は自治体や社会福祉協議会などが定期的に高齢者向けの詐欺対策講座を開く場合もあるので、そうしたイベント情報を収集してみるのもおすすめです。

6-4.エンディングノートの更新と見直し

一度エンディングノートを作っても、ライフスタイルや資産状況は変わっていきます。年に一回は見直しをし、自分の財産や連絡先情報に変更がないかを確認しましょう。

あわせて、老後の相談窓口のブログや書籍などをチェックし、新しい制度やサービスを把握しておくと、万が一の事態でも焦りにくくなります。

7.もし被害にあってしまったら

どんなに注意していても、詐欺被害にあう可能性はゼロではありません。
万が一、詐欺と思われる状況になった場合、あるいは既に被害にあってしまった場合は、すぐに警察や消費生活センターに連絡しましょう。

特に詐欺犯は被害者に「もう取り戻せないから、誰にも言わない方がいい」と口止めしたり、「これ以上失敗を広めると恥ずかしい」などと言って被害者の気持ちを萎縮させることがあります。
しかし、一人で悩むよりまずは専門窓口に相談することが重要です。
警察や消費生活センターは、過去の事例から解決の糸口を持っているケースが多く、犯行の手口を知ることで被害の拡大を防ぐことにもつながります。

8.おひとりさま終活サポートを活用するメリット

「それでも一人で詐欺対策や終活を全部行うのは不安」という方は、専門家によるサポートの利用を検討してみてください。
当方は、終活アドバイザー、薬剤師、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ老後コンシェルジュとして、おひとりさま向けの様々なサービスを提供しています。
具体的には、下記のようなサポートがあります。

・資産の整理や運用に関するアドバイス
・エンディングノートの作成や見直し
・遺言書作成に関する専門家(司法書士、弁護士など)との連携
・医療・介護・薬剤に関する相談
・日々の生活における不安や困りごとの相談窓口

特にお金に関する部分は、一人で調べてもよくわからないことが多いものです。
疑問をそのままにしておくと、それが心の隙間となり、詐欺犯に狙われやすくなる要因にもなります。
信頼できる専門家のサポートを受けながら、まずは「自分の老後をどのように過ごしたいか」「どのような資産管理をしたいか」をじっくり考えてみませんか?

当事務所では、以下のようなサービスを用意しています。
項目別サービス
終活終身サポート

これらのサービスを組み合わせることで、おひとりさまが生涯にわたって安心して終活を進められるようお手伝いさせていただきます。
ぜひ一度、ご検討ください。

9.まとめ

ここまで、おひとりさまが老後のお金を守るために気をつけるべき詐欺の手口や、具体的な対策、日常から取り入れられる習慣、終活と絡めた資産管理のポイントなどを紹介してきました。
振り込め詐欺や還付金詐欺はもちろん、投資詐欺や不動産詐欺など、手口は年々巧妙化し、多岐にわたっています。

大切なことは、「絶対に自分は騙されない」という思い込みを捨て、常に最新の情報をキャッチし、少しでも怪しいと思ったら誰かに相談する姿勢を持つことです。
特におひとりさまは周囲とのコミュニケーションが減りがちですから、専門家の力も上手に活用しましょう。
終活の視点から資産整理やエンディングノートの作成を行うことで、同時に詐欺対策の強化にもつなげることができます。
どのような形で自分の人生を終えたいか考えるとともに、その過程での資産管理やリスクヘッジを考えるのは、ご自身や大切な人たちの生活を守る上でもとても大切なステップです。

もし、この記事を読んで「自分の詐欺対策、まだまだ不十分かも」「そろそろ本格的に終活を始めたい」と感じられた方は、ぜひ当方が提供しているサービスやブログをご覧いただき、ご不安や疑問点をお気軽にお問い合わせください。

老後のお金をしっかり守りながら、自分らしい終活を進めていきましょう。