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無理せず家事を続けるための収納工夫:おひとりさま終活の視点から

無理せず家事を続けるための収納工夫:おひとりさま終活の視点から

こんにちは。終活アドバイザー、薬剤師、ファイナンシャルプランナーとして「おひとりさま終活サポート」を行っている老後コンシェルジュの坂井です。

人生100年時代と言われるようになり、ご自身の暮らしや健康を意識して行動する方が増えてきたように感じます。

特に、「おひとりさま」でこれからの生活や将来の介護、亡くなった後のことなどを考える際、自分が負担なく家事や整理整頓を続けられることはとても大切です。

そこで今回は、「無理せず家事を続けるための収納工夫」をテーマに、おひとりさま終活に役立つアイデアや体験談、実践的なポイントをまとめてみました。

本記事では、なぜ収納が「おひとりさまの終活」と密接に関わってくるのか、どんなふうに家事負担を減らしていくと良いのか、実際に私が見聞きした事例や、専門家としての視点も交えながらお話しします。

収納と聞くと「ただ片付けるだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は終活の文脈で考えると、収納や片付けのやり方ひとつで日常が驚くほどスムーズになり、さらに将来のトラブル回避にもつながります。

ぜひ最後まで読んでいただき、ご自身の環境や体力、気持ちに合った方法を見つけてください。

この記事では、おひとりさまが終活を進める上での収納の役割や、家事を楽にするための基本的な考え方、具体的な収納テクニックを幅広く紹介します。

長期にわたって無理なく続けられる工夫をたくさんご用意しましたので、何か一つでも取り入れていただければ嬉しいです。

おひとりさま終活の視点から考える収納の大切さ

まず、終活と収納がどのように関係しているかを整理しましょう。
「終活」とは、自分の人生の最終段階に向けて身の回りを整理し、心残りなく過ごすための活動を指す言葉です。
一般的には、遺言書の作成やエンディングノートの準備などが注目されることが多いですが、「おひとりさま」という状況を考えると、日々の生活そのものを整えることも立派な終活の一つです。

なぜなら、おひとりさまは、家事の負担が自分に集中しやすいからです。
誰かと家事を分担することができないため、日々の掃除・洗濯・料理や片付けなどはすべて自分の肩にかかってきます。そして年齢を重ねるほど体力的・精神的な負担が大きくなります。
そこで、「収納を上手に整えることで、家事負担を減らし、快適な日常生活を送る」という視点が重要となるのです。

さらに終活の一環として、生前整理という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
生前整理は、不要な物や使わない物を手放して、必要最低限の持ち物に絞り込むプロセスを指します。
これは、残された家族や親しい方に迷惑をかけないための取り組みとして知られていますが、おひとりさまの場合は、もしものときに頼れる家族が少ない、もしくは全くいないという場合もあります。
だからこそ、自分が動けるうちに身の回りの整理をしておくことが大切になってきます。

しかしながら、「整理整頓は苦手」「どうしても物を捨てられない」という方もいらっしゃいますよね。
そうした場合も、まずは日常の収納を見直し、「取り出しやすい場所に使う物を、最低限の数だけ」配置することから始めてみるのがおすすめです。
無理して捨てる必要はありません。使いにくい物の配置を変えたり、今の体力やライフスタイルに合わせて物の置き場を決め直すだけでも、家事は驚くほど楽になります

家事をラクにするための基本的な考え方

家事を無理なく続けるためには、収納だけでなく、そもそもの家事の進め方や考え方にコツがあります。
その基本となるのが以下のポイントです。

1.最短動線を意識する
キッチン周り、洗面所、洗濯エリアなど、作業が集中的に行われる場所はできるだけ移動が少なくなるように配置を考えましょう。

2.「使う物を使う場所に置く」
いわゆる定位置管理の原則です。掃除用具は掃除をする場所に近いところ、よく使う調味料は調理スペースから手を伸ばせば届く場所に設置しておくと、片付けもスムーズになります。

3.持ち物の総量を適正化する
物が多いと、それだけ片付けや管理の負担が増えます。自分の生活スタイルに合わせて「ちょうどいい量」を見極めることで、収納も楽になります。

4.ロボット掃除機や時短家電などの活用
体力的にきつい部分は、家電製品の力を借りるのも有効です。例えばロボット掃除機を導入すると、毎日手動で掃除機をかける必要が減り、その分の時間と体力を別のことに使えます。

このように、収納はあくまで家事負担を減らすためのツールとして捉えましょう。
「きれいにする」「美しく魅せる」ことがゴールになってしまうと、逆に疲れてしまうことがあります。
あくまで自分が使いやすい配置を見つけ、それを維持しやすい仕組みづくりを目指しましょう。

具体的な収納アイデアと工夫

それでは、実際に「無理せず家事を続けるための収納工夫」をいくつか紹介していきます。
どれもおひとりさまの日常に取り入れやすい、小さな一歩から始められるアイデアばかりです。
ぜひ気になるものからトライしてみてください。

1.よく使う物ほど手の届きやすい高さに

当たり前のことのようで意外とできていないのが、「頻繁に使う物を手の届きやすいところに置く」ということです。
特に加齢とともに、高い場所にある物を取ろうとすると危ないですし、踏み台を出すのも大変になります。

例えばキッチンでは、毎日使うお皿や調理器具は引き出しの上段やシンク下の一番近い場所にまとめて入れておくと良いでしょう。逆に年に数回しか使わないようなホットプレートや土鍋などは、少し高い戸棚でも問題ありません。

2.「見える収納」を活用する

引き出しや戸棚の中に全てしまってしまうと、何がどこにあるのか分からなくなりがちです。
そこでおすすめなのが、「見える収納」です。クリアケースや透明なボックス、ラベルを貼ったカゴなどを使うことで、外から見ても中身が分かる仕組みを作れます。

特に調味料や日用品などは詰め替えすぎず、パッケージや中身が一目で分かるようにしておくと片付けの手間も軽減します。
ただし、見えすぎると部屋が雑然とする場合もありますので、程よいバランスを保つのがコツです。

3.重い物は腰より下の位置に

お米や洗剤など、頻繁に使うわけではないものの、1つ1つが重い物は腰より下に収納すると安心です。
高い位置に置いてあると、取り出すときに腕や肩に負担がかかったり、万が一落下させてしまうと怪我につながります。
腰から下の位置にしまうことで、持ち上げ下げが少し楽になり、家事の安全性が高まります。

4.「使う頻度」で収納場所を分ける

収納場所を決めるときには、まず「使う頻度で場所を分ける」ことがポイントです。
使用頻度が高い物は一番取り出しやすい場所、逆に使用頻度が低い物は奥や上の方、というように段階的にレイアウトを決めてみましょう。
これを徹底するだけで、日常の家事が格段に楽になります。

5.1アクションで取り出せる仕組み

引き出しを開けて、さらに蓋を開けて……といったように、何度もアクションが必要になる収納は負担が大きいです。
年齢を重ねるほど、一度に多くのアクションが必要な収納は面倒に感じるもの。そこで意識したいのが、「1アクション収納」です。

例えば、調理器具を吊るす形にしておけば、開け閉めする動作がなくなります。
書類や新聞類は、ファイルボックスに立てかけておけば出し入れが1ステップで済みます。
こういった工夫をするだけで、格段に家事のしやすさがアップします。

片付けやすい環境づくりのステップ

実際にお部屋の収納を見直すにあたっては、以下のステップを踏むとスムーズです。
全部一気にやろうとすると疲れてしまうので、部屋ごと・エリアごとに少しずつ進めるのがおすすめです。

1.理想の生活イメージを描く
最初に「この部屋でどんなふうに暮らしたいか」をざっくりイメージしましょう。
例えば「キッチンは料理が楽しくなる空間にしたい」「リビングはゆったりテレビを楽しめるようにしたい」など、まずは理想像からスタートします。

2.物を一時的に全て出す
特定の引き出しや棚の整理をするときは、一度全て出してみてください。
このとき、「これはよく使う」「これはほとんど使わない」といった仕分けを行います。

3.不要な物を手放す(可能な範囲で)
いきなり全部捨てる必要はありませんが、「これ本当に必要かな?」という物は思い切って処分や譲渡を検討すると、後々の収納がとても楽になります。
リサイクルショップやフリマアプリを活用するのも手です。

4.使用頻度に応じた配置を考える
ここで先ほど紹介した「使用頻度で収納場所を分ける」を適用します。
よく使う物は目線〜腰の高さに、あまり使わない物は上や下の方に配置するよう意識しましょう。

5.ラベリングで維持しやすく
特におひとりさまの場合、万が一ヘルパーさんや親戚が手伝いに来てくれる機会があるときのためにも、収納場所にはラベルを貼っておくと助かります。
「ここには洗剤」「ここにはタオル」など書いておけば、どこに何があるか一目瞭然です。

これらのステップを踏むと、「どこに何をしまったのか分からない」状態が少なくなります。
さらに日常的に使う物だけが取り出しやすい場所にあることで、家事がぐんとラクになるはずです。
最初は少し大変に思えるかもしれませんが、これをやっておくと、後々の負担が小さくなるのでぜひ試してみてください。

トラブルを防ぐための注意点

収納を見直す際、気をつけておきたい点もいくつかあります。
特に高齢になるにつれて気がつきにくい点や、思わぬ事故につながりやすい点がありますので、以下を参考にしてください。

1.無理な姿勢での作業をしない
高いところや低いところに収納する際、無理に身体を曲げたり伸ばしたりすると腰や膝を痛めるリスクがあります。
踏み台やスツールを正しく使うか、安全な高さに収納場所を再設定することが大切です。

2.重い物は小分けにする
米袋や大容量の洗剤などを一度に持ち上げるのは大変です。
小さい容器に移し替えるなど、できるだけ重さを分散する工夫をしましょう。

3.引き戸の故障・転倒に注意
古い家や長年使っている家具は、戸の立て付けが悪くなっていることがあります。
引き戸が外れて転倒したり、棚がグラついて倒れる危険もあるため、事前にしっかり点検をしておきましょう。

4.防災用品の位置を確認する
非常時に必要な物(懐中電灯、薬箱、非常食など)はすぐに取り出せる場所へ。特におひとりさまの場合、災害時に助けを呼べる体制を整えておくことは重要です。
参考:首相官邸ホームページ(外部リンク)などでも災害時の備えの情報が紹介されていますのでチェックしてみてください。

こうした点に気をつけることで、収納の見直し自体を安心・安全に進めることができます。
腰痛などで立ち作業が難しい方は、座ったままでも作業できる高さに物を配置しておくなど、身体の状況に合わせた調整を加えてください。
決して無理はしないのが大前提です。

実際の体験談:実家での収納見直し

ここで少し、横浜市在住のAさん(80歳)が体験したエピソードを交えてお話しします。
数年前、Aさんの自宅(築50年以上の古い家)をリフォームするときに、キッチン周りや納戸の収納を大きく見直す機会がありました。
ご本人は80代でしたので、かなり大変でした。

当初の計画では、「全部きれいに片付けて、いらない物は処分して」と気合いを入れていたのですが、いざとなると、「これは思い出があるから捨てたくない」「昔から使っているから、なんとなく置いておきたい」という物がたくさん出てきました。
そこで、すべてを無理やり捨てるのではなく、まずは安全面や使いやすさを優先した配置換えから始める方針に変更したんです。

具体的には、使用頻度の高い食器類はシンク下のスライド収納にまとめ、調理に使うフライパンや鍋は火元近くのフックに吊り下げてワンアクションで取り出せるようにしました。
使わなくなった食器や調理道具も多かったのですが、捨てるのではなく物置に一時保管して、半年間使わなかったら処分する、という方法にしたんです。
これは意外と効果的でした。
半年後には「確かに使わなかったね」と納得して処分しやすくなったからです。

また、ご本人が高齢であることを考慮して、高い位置にある棚や大きなタンスは撤去したり、手が届きやすい高さのカラーボックスに入れ替えたりしました。
結果的に、毎日の動線が劇的に短くなり、無理のない家事ができるように変化しました。

「全部捨てなくちゃいけない」と思うとかなりストレスですが、「安全と使いやすさを優先する」というアプローチだと、ご本人も納得しやすかったとのことです。
この話を聞いて私が学んだ大きなポイントでした。

おひとりさま終活をサポートする当サービスのご案内

ここまで、収納や家事負担を軽減するためのポイントについてお話ししてきました。
「それは分かったけれど、どこから手をつければいいのか分からない」「一人でやるのはちょっとしんどい…」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときは、ぜひ当サービス「おひとりさま終活サポート」をご検討ください。

私は終活アドバイザー、薬剤師、ファイナンシャルプランナーとして、多角的な視点からおひとりさまの老後をサポートしています。
収納の見直しや生前整理のアドバイスだけでなく、健康管理やお金の使い方、介護保険の申請や施設探しなど、さまざまなお悩みに対応できます。
具体的には、下記のページでも詳細を紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

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問い合わせ

「おひとりさま終活」と聞くと、将来の不安が一気に押し寄せるイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、決して特別なことや難しいことではなく、「自分のペースで日常を整えていく」ことの積み重ねが大切なのです。
その第一歩として、収納の見直しや家事負担の軽減策を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

まとめ:収納見直しが「おひとりさま終活」の第一歩

今回は、「無理せず家事を続けるための収納工夫」をテーマに、おひとりさま終活における収納と家事のポイントについて詳しくご紹介しました。
以下、振り返りの要点です。

1.おひとりさま終活では、収納を整えることが日常の負担軽減につながる
2.整理整頓が苦手でも、「使う物を使う場所に・最短動線で」考えるだけで大きく変わる
3.使用頻度や重さによって収納位置を変えることで、体力的負担や転倒リスクを減らす
4.見える収納や1アクション収納など、簡単なテクニックを取り入れると家事がラクになる
5.無理して全捨てしない。安全と使いやすさを優先し、徐々に整理するアプローチを

「終活」というと何やら大げさに聞こえますが、本質的には自分の暮らしを心地よく整える取り組みです。
特におひとりさまの場合は、「いつか誰かがやってくれるだろう」という期待ができないぶん、早めに日常の仕組みを整えておくことが、将来への安心につながります。
とはいえ、体力や気力が限られている中で、一気に全部をやろうとすると疲れてしまいます。
少しずつ、自分に合ったペースで取り組むのが長続きのコツです。

もし、「何から手を付けていいかわからない」「一緒に考えてほしい」「専門家の意見を聞いてみたい」という方は、ぜひ私が提供している「おひとりさま終活サポート」の利用も検討してみてください。
お悩み別のご相談や、総合的な支援メニューなど、さまざまな形であなたをサポートします。

日常のちょっとした工夫が、あなたの生活の質をぐっと向上させることもあります。
ぜひ収納の見直しから始めてみてください。
そして、何か行き詰まりを感じたときは遠慮なくご相談ください。
おひとりさま終活は、決して「寂しい」ものでも「特別」なものでもなく、これからの人生をより自分らしく過ごすための前向きなステップです。
あなたのペースで、ゆっくりと一緒に進めていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも皆さまの終活や老後のお悩みに寄り添いながら、情報発信とサポートを続けて参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。